「雨水」とは、一年を通しての二十四節気の中で第二番目に位置する節気で、春の訪れを告げる時期です。この季節は、冬の雪が春の雨へと変わる変化の象徴です。
春風が吹き始め、場所によってはウグイスの鳴き声が聞こえることもあります。昔から、農作業の始まりを知らせる時期として重要視されてきました。
二十四節気は、季節の変わり目を肌で感じるのに役立ちます。それぞれの時期には旬の食材や、伝統的な生活スタイルに触れることができます。
忙しい日々の中で季節の移り変わりを感じることは、素晴らしいことです。今回は、特に「雨水」の季節に焦点を当てて紹介します。
二十四節気とは?
一年を太陽の動きに沿って分けたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。
具体的には、太陽が通る道、つまり黄道を24に分け、それぞれの部分に季節を割り当てます。例えば、夏至は一年で日が最も長い日で、冬至は最も短い日です。
これらを基にして昼夜の長さが等しい春分や秋分でさらに季節を細かく分け、立春、立夏、立秋、立冬などの時期が設定され、季節を細かく8つに分けます。
そして、これらをさらに細分化して、二十四の期間に名前を付けたのが二十四節気なのです。
二十四節気の一覧も用意しています。ぜひ参考にしてください。
雨水とは?
「雨水」は(うすい)と読み、春を象徴する節気です。
この時期は、冬の終わりを迎え、春の訪れを意味します。雪が溶けて雨に変わるこの季節は、農作業を始めるための合図として古来から認識されています。
まだ雪が残る地域もありますが、暖かい雨が降り、大地がやわらかくなり、春が近づいていることを感じさせます。
寒さも和らぎ、春の訪れが近づくと、春風やウグイスの鳴き声が聞こえるようになり、暖かい日差しの中で春への変化を実感できます。
2024年の「雨水」はいつ?
「雨水」は毎年2月19日頃に始まり、約15日間続きます。
2024年の場合、2月19日から3月5日までが「雨水」の期間とされています。二十四節気は太陽の動きに基づいて決定されるため、毎年同じ日に訪れるわけではありません。
この期間の後、次の節気「啓蟄」が始まります。
雨水とひな祭りのつながり
3月3日は、女の子の健やかな成長を祈るひな祭りが行われます。雛人形を飾る適切な時期は雨水の時期とされています。
地方によっては、この時期に雛人形を飾ると良縁に恵まれるという信仰があります。これは、「流し雛」という古い風習に由来します。流し雛は、人形に厄や穢れを移し、川に流して厄払いを行う行事です。
雨水の時期、山からの雪解け水が川を通じて大地を潤すため、昔から山から神様が降りてくると信じられていました。
雨水の「七十二候」
「二十四節気」を更に詳細に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるもので、約5日ごとに変わる気象や自然界の変化を記録しています。
この七十二候を通じて、雨水がどのような季節として理解されているかがより明確になります。現代ではあまり目にすることのない自然の様子も含まれています。
第四候 土脉潤起【つちのしょううるおいおこる】 [2月19日~23日頃]
春の雨が凍った地面に潤いをもたらし、地中の生き物が活動を始める時期です。この頃は、菜の花が開花し始めるのが特徴です。
第五候 霞始靆【かすみはじめてたなびく】 [2月24日~28日頃]
遠くの山が霞に包まれる景色が見られる時期です。霞は春に「たなびく」と形容され、夜には「」と呼ばれます。この美しい現象が、春の始まりの情景を彩ります。
第六候 草木萌動【そうもくめばえいずる】 [3月1日~4日頃]
土や枝から新しい命が芽吹く季節です。この時期にはハマグリなどの旬の食材も登場します。
雨水の行事
3月3日は、女の子の成長と幸せを願うひな祭りが行われます。
この節句は、雛人形を飾ることで知られており、一般的には立春の後の良い日に飾られます。しかし、雨水の時期に飾ることで良縁に恵まれるとも言われています。
水が生命の源であり、母性を象徴すると古くから信じられていたため、雨水の時期に雛人形を飾ると、安産や子宝に恵まれるとされています。ただし、飾る期間に厳格なルールはありません。
雨水の食べ物
雨水の季節には、特徴的な食材が豊富です。以下はその代表例です。
辛子菜(からしな)
金沢の伝統野菜で、特有の辛みと香りがあります。
その種子は和風の辛子の原料となり、生薬としても用いられ、神経痛や捻挫の外用薬としての効能があります。
うど(独活)
春の訪れを告げる代表的な山菜です。11月から2月にかけて出回る「寒ウド」と、3月から5月にかけて出回る「春ウド」があり、特に春ウドが旬です。
低カロリーで多用途に使える食材で、天ぷらや煮物、酢味噌和えなど様々な料理に適しています。
春キャベツ
3月から5月にかけて旬を迎える春キャベツは、この時期によく見かけます。
冬のキャベツよりも小さく柔らかく、甘くてみずみずしいため、サラダに最適です。
はまぐり(蛤)
はまぐりは2月から4月が旬で、この時期は栄養が豊富で美味しいです。
二枚の殻が完全に合うことから夫婦の調和を象徴し、ひな祭りにはお吸い物などの定番料理として用いられます。
まとめ
2月下旬は、まだ寒さが残るものの、春の訪れを感じる季節です。
雪が解け、草木が芽吹き始めることで、春の到来を実感できます。この時期には、春の山菜が登場し、新たな命が息づく季節となります。
雨水の季節を通じて、自然の変化を感じ、春の訪れを楽しむことができます。