「啓蟄(けいちつ)」という言葉をカレンダーやニュースなどで見かけて、
「啓蟄ってどんな意味?」
「いつ頃のこと?」
「本当に虫が出てくる日なの?」
「雨水や春分とは何が違うの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
啓蟄は、1年を24の季節に分けた「二十四節気」のひとつです。
冬の寒さが少しずつやわらぎ、土の中などで冬を越していた生き物が活動を始める頃を表しています。
春の二十四節気では、立春・雨水に続く3番目の節気です。
この記事では、啓蟄の意味や時期、雨水・春分との違い、七十二候、季節の特徴、行事や食べ物についてわかりやすく解説します。
啓蟄とは?

啓蟄は「けいちつ」と読み、二十四節気のひとつです。
二十四節気は、太陽の位置をもとに一年を24に分け、季節の移り変わりを表したものです。
啓蟄は太陽黄経が345度になる頃にあたり、雨水の次、春分の前に訪れます。
国立天文台の暦でも、雨水 → 啓蟄 → 春分の順番で季節が進みます。2026年の啓蟄は太陽黄経345度となる3月5日ですが、記事では特定の年に依存せず「3月上旬頃」と覚えておけば十分です。
春の二十四節気は、
立春
↓
雨水
↓
啓蟄
↓
春分
↓
清明
↓
穀雨
という順番です。
立春で暦の上では春が始まり、雨水では雪や氷が解け始めます。
そして啓蟄になると、植物だけでなく生き物の活動からも春の訪れを感じやすくなってきます。
二十四節気について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

啓蟄はいつ頃?

啓蟄は毎年3月5~6日頃に訪れます。
太陽の位置によって決まるため、日付が完全に固定されているわけではありません。
そのため、
「啓蟄=3月上旬頃」
と覚えておくとわかりやすいでしょう。
また「啓蟄」は啓蟄に入る最初の日だけでなく、次の二十四節気である春分までのおよそ15日間を指す場合もあります。
啓蟄から春分へ進むにつれて、日がさらに長くなり、暖かさを感じる日も増えていきます。
「啓蟄」という名前にはどんな意味がある?
「啓蟄」という言葉は、普段あまり使わない漢字なので意味がわかりにくいかもしれません。
「啓」には開くという意味があり、「蟄」は虫などが寒い時期に地中などへこもることを表します。
そのため啓蟄は、
「冬の間こもっていた生き物が外へ出始める頃」
という意味で使われています。
ただし、啓蟄の日になった瞬間に虫が一斉に出てくるわけではありません。
実際に生き物が活動を始める時期は、
- 地域
- 気温
- 生き物の種類
- その年の天候
などによって異なります。
二十四節気としての啓蟄は、自然界で少しずつ生き物の動きが活発になり、春らしさが増していく季節の目安と考えるとよいでしょう。
啓蟄と雨水の違い
啓蟄のひとつ前に訪れるのが「雨水(うすい)」です。
どちらも春の節気ですが、表している季節の変化が異なります。
雨水
雨水は2月中旬から下旬頃に訪れます。
雪や氷が解け始め、降る雪が少しずつ雨へ変わっていく頃を表しています。
啓蟄
啓蟄は3月上旬頃です。
気温が上がるにつれて、冬を越していた虫などの生き物が活動を始める頃を表しています。
つまり、
雨水 → 雪や氷、水に春の変化が現れる頃
啓蟄 → 生き物にも春の変化が現れる頃
という違いがあります。
関連記事:雨水とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
啓蟄と春分の違い
啓蟄の次に訪れる二十四節気が「春分(しゅんぶん)」です。
啓蟄
3月上旬頃。
冬ごもりしていた生き物が活動を始め、春らしさが増してくる頃です。
春分
3月下旬頃に訪れます。
春分の頃には太陽が春分点を通過し、昼と夜の長さがほぼ同じになります。
啓蟄から春分へ進むことで、暦の上でも春の中頃へ向かっていきます。
季節の流れとしては、
雨水
↓
啓蟄
↓
春分
となります。
関連記事:春分とは?意味や時期・春分の日との違い・食べ物や行事をわかりやすく解説
啓蟄の頃に感じられる季節の変化
暖かい日が増えてくる
3月上旬頃になると、日中には春らしい暖かさを感じる日が少しずつ増えてきます。
ただし、暖かい日が続くとは限りません。
急に寒さが戻ったり、地域によっては雪が降ったりすることもあります。
冬物の衣類をすべて片付けるのではなく、その日の気温に合わせて調整しやすい服装を選ぶとよいでしょう。
虫や小さな生き物を見かけるようになる
啓蟄という名前のとおり、暖かくなってくると昆虫などの姿を見かける機会が増えてきます。
ただし、
「啓蟄になれば必ず虫が出てくる」
わけではありません。
生き物ごとに活動を始める条件は異なり、地域による気温差もあります。
虫の姿を見かけたときに「春が進んできた」と感じる目安のひとつとして楽しむとよいでしょう。
草木の芽吹きが目立ってくる
雨水の頃から少しずつ変化していた植物も、啓蟄になると春らしい姿が目立つようになります。
木の芽がふくらんだり、地面から新しい草が伸びたりする様子を見かけることも増えてきます。
地域によっては梅が見頃を迎え、桃など春の花も少しずつ咲き始めます。
日がさらに長くなる
啓蟄の次は春分です。
冬至以降、昼の時間は少しずつ長くなっており、啓蟄の頃になると夕方の明るさにも変化を感じやすくなります。
春分に近づくにつれ、昼と夜の長さの差も小さくなっていきます。
啓蟄の七十二候
二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けたものを「七十二候(しちじゅうにこう)」といいます。
現在一般的に使われている七十二候では、啓蟄は次の3つに分けられています。国立天文台の七十二候でも同じ並びが確認できます。
蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)

啓蟄の最初の候です。
冬の間、土の中などにこもっていた虫たちが外へ出始める頃を表しています。
「戸を開く」という表現を使うことで、生き物が冬の眠りから目覚めて外へ出てくる様子が表されています。
啓蟄という節気そのものを象徴する七十二候といえるでしょう。
桃始笑(ももはじめてさく)

啓蟄の次の候です。
桃の花が咲き始める頃を表しています。
「笑」と書いて「咲く」と読むのが特徴です。
昔から、花が咲く様子を笑顔にたとえて「笑う」と表現することがありました。
桃の開花時期は地域や品種によって異なりますが、春の訪れを感じさせる花のひとつです。
菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

啓蟄の最後の候です。
菜の葉などを食べていた青虫が成長し、蝶になる頃を表しています。
七十二候では、虫が外へ出て、桃が咲き、最後には蝶が飛び始めるという流れになっています。
啓蟄の約15日間の中でも、春が少しずつ進んでいく様子を感じられるでしょう。
啓蟄と「菰外し」の関係
啓蟄について調べると「菰外し(こもはずし)」という言葉を見かけることがあります。
菰巻きとは、冬になると松の幹にわらなどで作った菰を巻く風習です。
かつては害虫を菰の中へ集めて駆除する目的があると考えられ、暖かくなる啓蟄の頃に菰を外す「菰外し」が行われてきました。
現在でも庭園などで冬の風物詩として見られることがあります。
ただし、現代では菰巻きの害虫駆除効果について疑問視する調査もあり、すべての場所で実用的な害虫対策として行われているわけではありません。
そのため、
「啓蟄には必ず菰外しを行う」
という行事ではなく、啓蟄に関連して知られている伝統的な風景のひとつとして考えるとよいでしょう。
啓蟄の頃にある行事
啓蟄そのものに、全国共通で必ず行う行事はありません。
ただし、3月上旬から中旬頃には春を感じるさまざまな行事があります。
ひな祭り

3月3日は「桃の節句」とも呼ばれるひな祭りです。
啓蟄が始まる少し前にあたることが多く、季節的にも非常に近い行事です。
雛人形を飾り、
ちらし寿司
はまぐりのお吸い物
ひなあられ
菱餅
などを楽しむ家庭もあります。
ひな祭りは啓蟄そのものに由来する行事ではありませんが、早春を代表する行事のひとつです。
春のお彼岸

春分の日を中日とした前後7日間は「春のお彼岸」です。
啓蟄の後半から春分へ向かう時期になると、お彼岸の準備をする家庭もあります。
お墓参りをしたり、お供え物を用意したりする日本の季節行事として知られています。
ただし、お彼岸の日程は春分の日を基準に決まるため、啓蟄そのものの行事ではありません。
卒業シーズン

3月は卒業式が行われる学校も多い時期です。
啓蟄と直接関係する伝統行事ではありませんが、現代の日本では春の訪れとともに、
卒業
進学
就職
引っ越し
など、新生活への準備が始まる季節でもあります。
啓蟄の頃に楽しめる食べ物
啓蟄の日に全国共通で食べる決まった行事食はありません。
そのため、3月頃に出回る春らしい食材を取り入れて季節を楽しむとよいでしょう。
サヨリ

サヨリは細長い姿が特徴的な魚で、地域によって春に多く出回ります。
刺身や塩焼き、天ぷらなどで楽しめます。
ただし、旬は産地や漁獲時期によって異なるため、
「啓蟄の日が必ず旬」
と考える必要はありません。
春らしい魚のひとつとして楽しむとよいでしょう。
わらび・ぜんまい

わらびやぜんまいは春を代表する山菜として知られています。
地域によって採れる時期は異なりますが、春になると直売所やスーパーなどで見かけることがあります。
食べる場合は、それぞれに適した下処理をしてから調理しましょう。
新玉ねぎ

春になると店頭で見かける機会が増えるのが新玉ねぎです。
一般的な玉ねぎとは異なり、収穫後に長期間乾燥させず出荷されるものが多く、みずみずしさが特徴です。
サラダやマリネ、スープなど、さまざまな料理に使えます。
出回る時期は産地によって異なります。
菜の花

春を感じられる代表的な野菜のひとつです。
おひたしや和え物、炒め物、パスタなど幅広い料理に使えます。
鮮やかな緑色とほろ苦さから、食卓でも春らしさを感じられます。
ふきのとう

ふきのとうも早春を代表する山菜です。
地域によっては雪が残る時期から姿を見せます。
天ぷらやふき味噌などにして、独特の香りや苦味を楽しめます。
いちご

冬から春にかけては、さまざまな品種のいちごが店頭に並びます。
そのまま食べるほか、
ケーキ
パフェ
いちご大福
ジャム
などさまざまな楽しみ方があります。
品種や栽培方法によって出荷時期は異なりますが、春らしい色合いも楽しめる果物です。
「虫が出てくる」以外にも春を感じられる
啓蟄は「虫が冬眠から目覚める日」と紹介されることが多い節気です。
しかし、実際には虫だけを見る季節ではありません。
啓蟄の頃になると、
- 木々の芽がふくらむ
- 草が伸び始める
- 桃など春の花が咲き始める
- 昼の時間が長くなる
- 暖かい日が増える
など、身近なところにさまざまな春の変化が現れます。
七十二候でも、
虫
↓
桃の花
↓
蝶
と自然の変化が続いています。
虫が苦手な方でも、花や植物、日の長さなどから啓蟄らしい季節の変化を楽しめます。
啓蟄の前後には「雨水」と「春分」がある
二十四節気では、啓蟄のひとつ前が雨水、次が春分です。
季節は、
雨水
↓
啓蟄
↓
春分
という順番で進みます。
雨水
雨水は2月中旬から下旬頃に訪れます。
雪や氷が解け始め、降る雪が雨へ変わっていく頃です。
関連記事:雨水とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
春分
春分は3月下旬頃に訪れます。
昼と夜の長さがほぼ同じになる頃で、「春分の日」という国民の祝日もあります。
関連記事:春分とは?意味や時期・春分の日との違い・食べ物や行事をわかりやすく解説
啓蟄についてよくある質問
啓蟄は何と読む?
「けいちつ」と読みます。
二十四節気のひとつで、冬の間こもっていた生き物が活動を始める頃を表しています。
啓蟄は毎年同じ日?
完全に同じ日ではありません。
太陽の位置によって決まり、おおむね3月5~6日頃です。
毎年の日付ではなく「3月上旬頃」と覚えておけばよいでしょう。
啓蟄になったら本当に虫が出てくる?
すべての虫が啓蟄の日に一斉に活動を始めるわけではありません。
生き物の種類や地域、気温などによって活動を始める時期は異なります。
啓蟄は、生き物の活動が少しずつ活発になる春の季節を表す言葉です。
啓蟄は春?冬?
二十四節気では春です。
立春から暦の上では春が始まっており、啓蟄は春の3番目の二十四節気です。
啓蟄の次は何?
次の二十四節気は「春分」です。
啓蟄からさらに春が進み、3月下旬頃に春分を迎えます。
啓蟄には何を食べる?
啓蟄の日に全国共通で食べる決まった行事食はありません。
菜の花、新玉ねぎ、ふきのとう、わらびなど、春らしい食材を楽しむのもよいでしょう。
まとめ|啓蟄は生き物の動きから春を感じる季節の節目
啓蟄は二十四節気のひとつで、3月上旬頃に訪れます。
雨水を過ぎて春がさらに進み、冬の間こもっていた生き物が少しずつ活動を始める頃を表しています。
啓蟄の頃には、
- 暖かい日が増えてくる
- 虫などの生き物を見かける機会が増える
- 草木の芽吹きが目立ってくる
- 桃など春の花が咲き始める
- 日がさらに長くなる
など、さまざまなところで春の変化を感じられます。
七十二候では、
蟄虫啓戸
↓
桃始笑
↓
菜虫化蝶
と進み、生き物・花・蝶という春らしい自然の変化が表されています。
啓蟄の次に訪れるのは春分です。
虫だけでなく、草木や花、日の長さなど身近な変化にも目を向けながら、本格的な春へ向かっていく季節を感じてみてください。

