日本には年を24の区切りで分ける「二十四節気」という伝統的な季節の区分が存在します。この中で、冬の最後を告げる節気が「大寒」です。
大寒は、一年の中で最も寒さが厳しくなる時期ですが、同時に春の訪れも感じられる特別な時期です。この記事では、大寒の意味やその特徴について詳しくご紹介します。
二十四節気とは
一年を太陽の動きに沿って分けたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。
具体的には、太陽が通る道、つまり黄道を24に分け、それぞれの部分に季節を割り当てます。例えば、夏至は一年で日が最も長い日で、冬至は最も短い日です。
これらを基にして昼夜の長さが等しい春分や秋分でさらに季節を細かく分け、立春、立夏、立秋、立冬などの時期が設定され、季節を細かく8つに分けます。
そして、これらをさらに細分化して、二十四の期間に名前を付けたのが二十四節気なのです。
二十四節気の一覧も用意しています。ぜひ参考にしてください。
大寒とは?
大寒(だいかん)は、その名の通り年間で一番寒い時期を示します。この時期に特徴的なのが「三寒四温」という気候のパターンです。
「三寒四温」とは、3日間寒い日が続いたあとに4日間暖かい日が来るという気象現象のことを指します。これにより、前の節気である「小寒」よりも暖かい日が現れることもあります。
「小寒の氷、大寒に解ける」ということわざがあり、大寒の方が小寒よりも温かいことを表しており、「物事がいつも計画通りに進むわけではない」という意味が込められています。
2024年の「大寒」はいつ?
2024年の大寒は1月20日(土)に始まります。
大寒は毎年大体1月20日頃から立春までの約15日間続く期間です。
大寒の「七十二候」
「二十四節気」を更に詳細に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるもので、約5日ごとに変わる気象や自然界の変化を記録しています。
この七十二候を通じて、大寒がどのような季節として理解されているかがより明確になります。現代ではあまり目にすることのない自然の様子も含まれています。
第七十候 款冬華【ふきのはなさく】 【1月21日~24日頃】
この期間には、黄色いフキの花が咲き始めます。フキの花は春の訪れを象徴し、フキノトウとして知られる茎の部分は、独特の香りと苦味、シャキシャキした食感が特徴で、多くの料理に使われています。
第七十一候 水沢腹堅【さわみずこおりつめる】 【1月25日~29日頃】
この時期、沢の水が厚い氷で覆われるほどに寒くなります。この期間は一年で最も寒い時期の一つとされ、シュンギクが鍋料理に欠かせない存在になります。シュンギクは冬が旬で、柔らかい茎と葉、強い香りが特徴です。また、ビタミンやミネラルが豊富で栄養価が高いのも特徴です。
第七十二候 鷄始乳【にわとりはじめてとやにつく】 【1月30日~2月3日頃】
春の訪れを感じたニワトリが卵を産むために鶏小屋にこもる時期です。「とや」は鳥小屋、「乳」は卵を産むことを意味します。通常、鶏卵は年中手に入りますが、伝統的にこの時期はニワトリの産卵期とされています。七十二候の最後の候は、立春を前にした節分の時期で、寒さが和らぎ、春が近づいていることを感じる時期となります。
大寒の行事
大寒の期間には、以下のような主な祭りやイベントが行われます。
節分
大寒の終わりであり、立春の前日にあたる日は節分です。もともと春夏秋冬の各季節の変わり目に4回祝われていた節分ですが、現在は2月3日頃に行われることが一般的です。節分では、邪気を追い払い、健康や幸福を祈るために豆まきをし、恵方巻を食べる風習が広く行われています。
寒の水
大寒の時期には「寒の水」と呼ばれる特別な水が利用されます。この水は、お酒や味噌の仕込みに適しているとされ、醤油や寒天、凍り豆腐の製造にもこの時期の低温が利用され、味の向上が期待されます。寒の水は温度と湿度が低く、雑菌が少ないため、品質が高く長期保存に適しています。この時期に仕込まれるお酒は「寒仕込み」と呼ばれ、特別な価値があるとされています。これらは寒の時期ならではの伝統的な知恵が反映されています。
大寒の食べ物
大寒の時期にぴったりな、旬で美味しい食材をご紹介します。
フキノトウ(蕗の薹)
大寒は春の訪れを予感させる季節で、この時期にはフキノトウが雪の中から顔を出し始めます。フキノトウはフキの若芽で、独特の苦味と清々しい香りが特徴です。天ぷらや炒め物、和え物、おひたしにして食べるのが一般的です。
金柑(キンカン)
金柑の旬は1月から3月で、特に2月は盛り上がりを見せます。11月頃からは温室栽培された金柑が市場に出回り始めます。ミカンと違って皮ごと食べられ、皮の芳香と果肉の甘酸っぱい味わいが特徴です。ビタミンCやA、カルシウムも豊富で、風邪予防や喉の痛み緩和に効果があります。
ワカサギ
冬の楽しみの一つ、ワカサギ釣り。釣りシーズンは10月からスタートしますが、氷上での釣りは1月から3月が本番です。ワカサギはカルシウムが非常に豊富で、丸ごと揚げて食べることで、効率良くカルシウムを摂取できます。
まとめ
大寒は二十四節気の中で冬の最終段階を表し、年間でもっとも寒い時期です。
しかし、梅の花が咲いたりフキノトウが顔を出したりすることで、春の訪れも感じられます。
冬を元気に過ごし、春を迎えるためにも、これらの旬の食材を楽しむのがおすすめです。