日本のカレンダーに記された和風月名には、その名前の意味や季節感がいまいち分かりづらいものもあります。そんな中で、今回は特に「文月」と呼ばれる7月にスポットを当てて、その由来や意味、面白い話などを深く探ってみました。
文月はどの月で、どう読むのか?
文月とは、旧暦での7月を指す呼称で、「ふみづき」と読みます。では、そもそも旧暦とはどのようなものだったのでしょうか?旧暦は、現在使用されているグレゴリオ暦(太陽暦)の前に使われていた暦のことを指します。旧暦は月の満ち欠けに基づいており、太陽の周りを地球が一周する365日を基準に、うるう月を設けて調整していました。また、季節感とのずれを二十四節気で補正していたのです。
しかし、旧暦の新年は立春から始まるため、現在の1月1日とは異なります。これが、私たちが感じる旧暦の月名の異質さの理由の一つです。
文月の意味
文月という名前には「文」という文字が含まれており、それが文字や文に関連する意味を連想させます。しかし、7月と言えば夏真っ盛りで、文や文字を思い浮かべることは一般的ではないかもしれません。
この月には七夕という大切な行事があります。平安時代には、七夕の際に和歌を詠む風習がありました。これが庶民の間にも広まり、「文被月(ふみひらきづき)」と呼ばれ、後に「文月(ふみづき)」と簡略化されたと考えられています。
文月の由来
文月という名前の由来にはいくつかの説がありますが、奈良時代以前から7月を文月と呼んでいたのなら、七夕に由来する説はあまり強くないかもしれません。
そこで、他の由来に目を向けてみると、旧暦の7月は稲の穂が成長する時期で、「穂含月(ほふみづき)」や「穂見月(ほみつき)」と呼ばれていた可能性もあります。
文月に関するもう一つの興味深い説
文月の名前の由来や意味には、まだ確定されていない点が多く、さまざまな説が存在します。その中で特に興味深いのが、「虫干し」と関連する説です。虫干しとは、本に付着した虫を取り除くための行事で、毎年7月7日に行われていました。
この行事から、「文を開く→ふみつき」という言葉が派生したとされています。
また、この虫干しの風習自体も、もともとは中国から伝わってきたものです。
7月の他の名称
7月は「文月」と呼ばれますが、それ以外にもさまざまな名称が存在します。ここでは、文月以外の7月の和風月名に注目してみましょう。
- 女郎花月(おみなえしつき)
この時期に咲く黄色い女郎花が名前の由来です。 - 愛合月(めであいつき)
七夕の伝説に基づき、織姫と彦星の出会いを記念して名づけられた月です。 - 建申月(けんしんげつ)
北斗七星の柄が申の方向を指すことから名付けられました。 - 初秋(しょしゅう)
暦上では秋に該当することからの呼称です。 - 孟秋(もうしゅう)
「初め」を意味する孟から名づけられた名前です。
文月の時期に行われる習慣
日本では、土用の丑の日に鰻を食べるという風習があります。
土用とは、四立(立春、立夏、立秋、立冬)の前の18日間を指します。実は、土用の丑の日は年に4回あるのです。
しかし、夏に特に重要視されるようになったのは、平賀源内の提案がきっかけです。彼は、夏に鰻が売れない鰻屋に「本日丑の日」という張り紙をすることを提案し、これが大ヒットしました。結果、夏の土用の丑の日に鰻を食べる習慣が定着しました。
文月の主要な行事
文月には七夕が代表的な行事ですが、それ以外にも多くのイベントがあります。海開き、山開き、博多祇園山笠、京都祇園祭、大阪天神祭などが例として挙げられます。
全国各地では花火大会や夏祭りも盛大に開催されます。
また、富士山の山開きも7月に行われますが、山梨側と静岡県側では開山日が異なるため、注意が必要です。
まとめ
7月の和風月名である「文月」の背景や文化を理解すると、日本の自然や生活風景に合わせた独自の風習の豊かさが伝わってきます。今年の7月は、文月にちなんで家族や友人に手紙を送ってみるのも良いかもしれませんね。