「春分(しゅんぶん)」という言葉を聞くと、
「昼と夜の長さが同じ日」
「春分の日は祝日」
「お彼岸の時期」
といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
春分は、1年を24の季節に分けた「二十四節気」のひとつです。
啓蟄を過ぎて春がさらに深まり、昼の時間が長くなっていく大きな季節の節目にあたります。
また「春分」と「春分の日」は似ていますが、厳密には意味が異なります。
この記事では、春分の意味や時期、春分の日との違い、昼と夜の長さ、春のお彼岸、七十二候、食べ物や行事についてわかりやすく解説します。
春分とは?

春分は「しゅんぶん」と読み、二十四節気のひとつです。
二十四節気は太陽の位置をもとに一年を24に分け、季節の移り変わりを表したものです。
春分は太陽黄経が0度になる頃にあたり、啓蟄の次、清明の前に訪れます。
国立天文台では春分について、
「太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる」
頃と説明しています。
春の二十四節気は、
立春
↓
雨水
↓
啓蟄
↓
春分
↓
清明
↓
穀雨
という順番で進みます。
立春で暦の上では春が始まり、雨水・啓蟄を経て、春分になると春の中頃を迎えます。
春分を過ぎると昼の時間が夜より長くなり、夏至に向かってさらに日が長くなっていきます。
二十四節気について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

春分はいつ頃?

春分は、毎年3月20~21日頃に訪れます。
日付が完全に固定されているわけではなく、太陽が春分点を通過する時刻によって決まります。
例えば国立天文台の暦では、2026年の春分は3月20日ですが、毎年必ず同じ日になるわけではありません。
そのため、毎年の日付を覚えるのではなく、
「春分=3月下旬頃」
と覚えておけばよいでしょう。
また「春分」という言葉は春分に入る最初の日だけではなく、次の二十四節気である清明までのおよそ15日間を指す場合もあります。
春分と「春分の日」の違い
春分と春分の日は同じ意味のように使われることがありますが、正確には少し違います。
春分
二十四節気のひとつです。
太陽が春分点を通過する季節の節目を表しています。
春分の日
日本の「国民の祝日」です。
祝日法では「春分の日」について、
「自然をたたえ、生物をいつくしむ」
日と定められています。
つまり、
春分 → 暦・天文学上の季節の節目
春分の日 → 春分日に定められる日本の国民の祝日
という違いがあります。
春分の日が毎年同じ日ではないのはなぜ?
春分の日は、成人の日や海の日のように「3月○日」と法律で固定されている祝日ではありません。
内閣府によると、春分の日は法律上「春分日」と定められており、国立天文台が毎年公表する「暦要項」によって翌年の日付が確定します。
地球が太陽の周りを一周する時間は、ちょうど365日ではありません。
そのため、春分となる時刻は毎年少しずつずれ、うるう年による調整も加わります。
結果として、春分の日は3月20日や21日になることがあります。
毎年記事を更新しないのであれば、
「春分の日は毎年3月20~21日頃」
という説明にしておくのがおすすめです。
春分は本当に昼と夜の長さが同じ?
春分について、
「昼と夜が12時間ずつになる日」
と説明されることがあります。
しかし、実際には昼と夜の長さが完全に同じになるわけではありません。
国立天文台によると、春分の日でも一般的には昼の方が少し長くなります。
理由のひとつが、日の出と日の入りの決め方です。
日の出と日の入りは、太陽の中心ではなく、太陽の上端が地平線に接する時刻を基準にしています。
さらに、大気による光の屈折によって、地平線近くの太陽が実際の位置より少し高く見えることも影響します。
そのため、
「春分=昼と夜の長さが完全に同じ」
ではなく、
「春分=昼と夜の長さがほぼ同じになる頃」
と説明する方が正確です。
春分を過ぎると昼の方が長くなる
冬至の頃は昼の時間が一年で最も短くなります。
その後、立春・雨水・啓蟄と季節が進むにつれて少しずつ昼が長くなり、春分を迎えます。
春分を過ぎると、北半球では昼の時間が夜より長くなっていきます。
そして夏至の頃に、昼の時間が一年で最も長くなります。
季節の流れを簡単に表すと、
冬至 → 昼が最も短い頃
春分 → 昼と夜がほぼ同じ頃
夏至 → 昼が最も長い頃
となります。
日の長さからも、冬から春、そして夏へ向かって季節が進んでいることがわかります。
春分と啓蟄の違い
春分のひとつ前に訪れる二十四節気が「啓蟄(けいちつ)」です。
啓蟄
啓蟄は3月上旬頃に訪れます。
冬の間こもっていた生き物が少しずつ活動を始める頃です。
春分
春分は3月下旬頃。
昼と夜の長さがほぼ同じになり、春の中頃を迎えます。
つまり、
啓蟄 → 生き物の活動から春を感じる頃
春分 → 日の長さから春の深まりを感じる頃
と考えるとわかりやすいでしょう。
関連記事:啓蟄とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
春分と清明の違い
春分の次に訪れる二十四節気が「清明(せいめい)」です。
春分
3月下旬頃。
昼と夜の長さがほぼ同じになる頃です。
清明
清明は4月上旬頃に訪れます。
国立天文台では、
「すべてのものが生き生きとして、清らかに見える」
頃と説明されています。
桜や草木なども春らしい姿を見せるようになり、本格的な春を感じやすくなる時期です。
つまり、
春分 → 春の中頃となる大きな節目
清明 → 草木や自然が生き生きとしてくる頃
という違いがあります。
関連記事:清明とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
春分の頃に感じられる季節の変化
暖かい日が増えてくる
3月下旬頃になると、日中には春らしい暖かさを感じる日が増えてきます。
ただし、朝晩は冷え込むこともあり、地域によっては寒さが戻る場合もあります。
春物だけに切り替えるのではなく、薄手の上着などを用意しておくと過ごしやすいでしょう。
桜が咲き始める地域もある
春分の七十二候には「桜始開」という言葉があります。
地域によっては春分の頃から桜の開花が始まります。
ただし、日本は南北に長いため、開花時期には大きな違いがあります。
暖かい地域ではすでに咲いていることがありますが、北日本では春分を過ぎてから開花する地域もあります。
そのため、
「春分=全国で桜が咲く日」
という意味ではありません。
生き物の活動が活発になる
啓蟄の頃から少しずつ活動を始めていた生き物も、暖かくなるにつれて見かける機会が増えてきます。
鳥の巣作りや昆虫の姿など、身近な自然から春を感じることもあるでしょう。
昼の時間がさらに長くなる
春分を過ぎると、昼の時間はさらに長くなっていきます。
夕方になっても明るい時間が増え、冬との違いを実感しやすくなります。
このあと夏至に向かって、昼の時間は少しずつ長くなります。
春分の七十二候
二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けたものを「七十二候(しちじゅうにこう)」といいます。
現在一般的に使われている七十二候では、春分は次の3つに分けられます。
雀始巣(すずめはじめてすくう)

春分の最初の候です。
スズメが巣作りを始める頃を表しています。
暖かくなり、鳥たちが繁殖に向けて活動する季節になっていく様子を表した言葉です。
身近なスズメの動きからも、春が進んでいることを感じられます。
桜始開(さくらはじめてひらく)

春分の次の候です。
桜の花が咲き始める頃を表しています。
日本では桜は春を代表する花のひとつで、開花の知らせを楽しみにしている方も多いでしょう。
ただし、実際の桜の開花時期は地域・品種・その年の気温によって異なります。
七十二候では、春の代表的な自然の変化として桜の開花が表現されています。
雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)

春分の最後の候です。
春の雷が鳴り始める頃を表しています。
暖かく湿った空気が入りやすくなり、季節が進むことで雷を伴う天気になることがあります。
国立天文台の七十二候でも、
雀始巣
↓
桜始開
↓
雷乃発声
という順番になっています。
鳥・桜・雷という自然の変化から、春が少しずつ深まっていく様子が表されています。
春分と春のお彼岸の関係
春分と特に関係の深い行事が「春のお彼岸」です。
春のお彼岸は、春分の日を「中日」として、その前後3日間を合わせた7日間です。
つまり、
彼岸入り
↓
春分の日(中日)
↓
彼岸明け
という流れになります。
お彼岸には、お墓参りをしたり、仏壇を掃除したり、ご先祖を供養したりする家庭があります。
ただし、お彼岸は春分そのものと完全に同じ意味ではありません。
春分の日を中心にした7日間が「春のお彼岸」です。
なぜ春分にお墓参りをするの?
春のお彼岸にお墓参りをする風習には、仏教と日本独自の祖先を敬う文化が関係しているとされています。
仏教では、悟りの世界を「彼岸」、私たちが暮らしている世界を「此岸(しがん)」と呼びます。
また、西方に極楽浄土があるという考え方と、春分の頃に太陽がほぼ真西へ沈むことが結びつき、日本では春分・秋分の頃に祖先を供養する習慣が広まりました。
ただし、
「春分の日には彼岸と此岸の距離が物理的に近くなる」
という意味ではありません。
宗教的・文化的な考え方から受け継がれてきた日本の季節行事として理解するとよいでしょう。
春分の日が祝日になっている理由
春分の日は、日本の国民の祝日のひとつです。
祝日法では、
「自然をたたえ、生物をいつくしむ」
日と定められています。
春になり、植物や生き物の活動が活発になる季節に、自然や生命について考える日という位置づけです。
春分の頃にある行事
春分そのものの行事として特に知られているのは、春のお彼岸です。
このほか、3月下旬から4月上旬には春らしい行事やイベントが増えてきます。
お墓参り

春のお彼岸には、お墓参りをする家庭があります。
お墓の掃除をしたり、花や線香を供えたりして、ご先祖や故人をしのびます。
家庭や宗派によって過ごし方は異なります。
お花見

地域によっては、春分の頃から桜が咲き始めます。
桜の下で食事をしたり、散歩をしながら桜を眺めたりする「お花見」は、日本を代表する春の楽しみのひとつです。
ただし、桜の開花時期は地域や年によって大きく異なるため、春分と必ず重なるわけではありません。
卒業・新生活の準備

3月下旬は卒業式や新生活の準備が重なる時期でもあります。
進学・就職・引っ越しなど、生活環境が変わる方も多い季節です。
春分そのものに由来する行事ではありませんが、現代の日本では春の大きな節目として感じやすい時期でしょう。
春分の頃に楽しめる食べ物
春分の日に全国共通で必ず食べなければならないものがあるわけではありません。
ただし、春のお彼岸に関係する食べ物や、春らしい旬の食材があります。
ぼたもち

春のお彼岸を代表する食べ物のひとつが「ぼたもち」です。
もち米などを使い、あんこで包んだ和菓子です。
春に咲く牡丹の花にちなんで「ぼたもち」と呼ばれるようになったという説があります。
秋のお彼岸には、秋に咲く萩にちなんで「おはぎ」と呼ばれることがあります。
ただし、現在では地域や店舗によって一年を通して「おはぎ」と呼ぶ場合もあり、必ず呼び分けられているわけではありません。
菜の花

菜の花は春らしさを感じられる食材のひとつです。
おひたしや和え物、炒め物、パスタなど、さまざまな料理に使えます。
鮮やかな緑色と独特のほろ苦さからも、春の季節感を楽しめます。
新玉ねぎ

春になると新玉ねぎが多く出回るようになります。
一般的な玉ねぎと比べ、収穫後に長期間乾燥させず出荷されるものが多く、みずみずしい食感が特徴です。
サラダやマリネ、スープなど幅広い料理に利用できます。
春キャベツ

春キャベツも春らしい食材のひとつです。
葉がやわらかく、みずみずしいものが多いため、サラダや浅漬け、炒め物などに使いやすいでしょう。
出回る時期は産地によって異なります。
たけのこ

春が進むと、たけのこも出回るようになります。
たけのこご飯や煮物、天ぷらなどで春の味覚を楽しめます。
地域によって収穫時期が異なるため、春分の時点ではまだ出回っていない地域もあります。
春分の前後には「啓蟄」と「清明」がある
二十四節気では、春分のひとつ前が啓蟄、次が清明です。
季節は、
啓蟄
↓
春分
↓
清明
という順番で進みます。
啓蟄
啓蟄は3月上旬頃に訪れます。
冬を越していた生き物が少しずつ活動を始める頃です。
関連記事:啓蟄とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
清明
清明は4月上旬頃に訪れます。
春分からさらに季節が進み、草木や生き物が生き生きとして見える頃です。
関連記事:清明とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
春分についてよくある質問
春分は何と読む?
「しゅんぶん」と読みます。
二十四節気のひとつで、昼と夜の長さがほぼ同じになる頃を表しています。
春分は毎年同じ日?
完全に同じ日ではありません。
太陽の位置によって決まるため多少変わりますが、おおむね3月20~21日頃です。
「3月下旬頃」と覚えておけばよいでしょう。
春分と春分の日は同じ?
厳密には違います。
春分は二十四節気のひとつで、春分の日は日本の国民の祝日です。
春分の日は、国立天文台が公表する春分日をもとに決まります。
春分の日は昼と夜が同じ長さ?
ほぼ同じですが、完全に同じではありません。
日の出・日の入りの定義や大気による光の屈折などの影響で、実際には昼の時間の方が少し長くなります。
春分の日はなぜ祝日?
祝日法で「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日と定められているためです。
春分とお彼岸は同じ?
同じではありません。
春分の日を中日として、その前後3日間を合わせた7日間が春のお彼岸です。
春分には何を食べる?
春のお彼岸では「ぼたもち」がよく知られています。
このほか、菜の花、新玉ねぎ、春キャベツなど、春らしい食材を楽しむのもよいでしょう。
春分の次は何?
次の二十四節気は「清明」です。
春分からさらに春が進み、4月上旬頃に清明を迎えます。
まとめ|春分は昼と夜がほぼ同じになる春の節目
春分は二十四節気のひとつで、3月20~21日頃に訪れます。
太陽が春分点を通過し、昼と夜の長さがほぼ同じになる頃です。
ただし、実際には日の出・日の入りの定義や大気による光の屈折の影響があるため、昼と夜が完全に同じ長さになるわけではありません。
また、「春分の日」は日本の国民の祝日で、祝日法では「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日とされています。
春分の頃には、
- 昼の時間がさらに長くなる
- 桜が咲き始める地域がある
- 生き物の活動が活発になる
- 春のお彼岸を迎える
- ぼたもちなど春らしい食文化を楽しめる
といった季節の変化があります。
七十二候では、
雀始巣
↓
桜始開
↓
雷乃発声
と進み、鳥・桜・雷という自然の変化から春の深まりが表されています。
春分を過ぎると、次は「清明」です。
日の長さや桜、身近な生き物などに目を向けながら、本格的な春へ変わっていく季節を楽しんでみてください。

