「芒種(ぼうしゅ)」という言葉をカレンダーなどで見かけて、
「芒種ってどんな意味?」
「何と読むの?」
「いつ頃の季節なの?」
「梅雨とは関係があるの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
芒種は、1年を24の季節に分けた「二十四節気」のひとつです。
小満を過ぎて初夏がさらに進み、稲などの穀物に関わる農作業が行われる頃を表しています。
また、6月上旬頃にあたるため、地域によっては梅雨入りを迎える時期とも重なります。
国立天文台では、芒種を「稲などの芒のある穀物を植える」頃と説明しています。
この記事では、芒種の意味や時期、小満・夏至との違い、梅雨との関係、七十二候、季節の特徴、食べ物や行事についてわかりやすく解説します。
芒種とは?

芒種は「ぼうしゅ」と読み、二十四節気のひとつです。
二十四節気は、太陽の位置をもとに1年を24に分け、季節の移り変わりを表したものです。
芒種は太陽黄経が75度になる頃にあたり、小満の次、夏至の前に訪れます。国立天文台でも、夏の二十四節気は立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑の順に並んでいます。
季節の流れは、
立夏 → 小満 → 芒種 → 夏至 → 小暑 → 大暑
となります。
小満では草木などが成長して天地に満ち始め、芒種になるとさらに季節が進みます。
日差しや気温から夏らしさを感じる日が増える一方、雨の多い季節へ向かう時期でもあります。
二十四節気について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

芒種はいつ頃?

芒種は、毎年6月5~6日頃に訪れます。
太陽の位置によって決まるため、毎年必ず同じ日になるわけではありません。
そのため、毎年の日付を覚えるより、
「芒種=6月上旬頃」
と覚えておくとわかりやすいでしょう。
また、芒種という言葉は芒種に入る最初の日だけでなく、次の二十四節気である夏至までのおよそ15日間を指す場合もあります。
芒種から夏至へ進むにつれて、昼の時間もさらに長くなっていきます。
「芒種」という名前にはどんな意味がある?
芒種の「芒」は「のぎ」と読みます。
稲や麦などの穂先に見られる、針のように細く伸びた部分を指す言葉です。
「種」は文字どおり植物の種を表します。
国立天文台では、芒種を「稲などの芒のある穀物を植える」頃と説明しています。
そのため芒種は、昔から農作業と深く関係する季節の目安として使われてきました。
ただし、現在の田植えや種まきの時期は、
地域
品種
気候
農業技術
などによって大きく異なります。
「芒種の日に全国で一斉に田植えをする」という意味ではありません。
昔から伝わる農作業の季節感を表す言葉として考えるとよいでしょう。
芒種と小満の違い
芒種のひとつ前に訪れる二十四節気が「小満(しょうまん)」です。
小満
小満は5月20~21日頃に訪れます。
国立天文台では「すべてのものがしだいにのびて天地に満ち始める」頃とされています。
草木や作物が勢いよく成長し、初夏らしさが増してくる時期です。
芒種
芒種は6月5~6日頃に訪れます。
小満からさらに季節が進み、稲など穀物の農作業を意識する頃です。
つまり、
小満 → 草木や生き物などが成長していく頃
芒種 → 穀物や農作業と関わりの深い初夏の頃
という違いがあります。
関連記事:小満とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
芒種と夏至の違い
芒種の次に訪れる二十四節気が「夏至(げし)」です。
芒種
6月上旬頃に訪れます。
梅雨入りする地域が増え、初夏から本格的な夏へ向かう季節です。
夏至
夏至は6月下旬頃に訪れます。
国立天文台では、夏至を「昼の長さが最も長くなる」頃としています。
つまり、
芒種 → 稲などの穀物や梅雨の季節を感じる頃
夏至 → 一年の中で昼が最も長くなる頃
という違いがあります。
関連記事:夏至とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
芒種の頃に感じられる季節の変化
雨の日が増える地域がある
芒種は6月上旬頃なので、日本では梅雨の季節と重なりやすい時期です。
曇りや雨の日が増え、湿気を感じる日も多くなってきます。
ただし、梅雨入りの時期は地域や年によって異なるため、芒種を迎えたからといって日本全国が同時に梅雨になるわけではありません。
木々の緑がさらに濃くなる
春に芽吹いた木々は、小満から芒種へ進むにつれてさらに葉を茂らせます。
公園や山などでは緑が濃くなり、春の新緑から夏らしい景色へと変わっていきます。
雨に濡れた木々の葉が鮮やかに見えるのも、この時期ならではの風景です。
日が長くなる
芒種の次に訪れるのは夏至です。
そのため、芒種の頃は一年の中でも特に昼の時間が長い時期にあたります。
夕方になっても明るい日が続き、冬と比べると日の長さの違いを実感しやすいでしょう。
湿度が高く感じられるようになる
雨の日が増える地域では、気温だけでなく湿度も高く感じるようになります。
晴れた日は暑く、雨の日には蒸し暑く感じるなど、初夏ならではの気候になっていきます。
衣類や寝具なども、春用から夏向けへ少しずつ変えていく時期です。
芒種と梅雨の関係
芒種と梅雨は同じものではありません。
芒種は太陽の位置によって決まる二十四節気ですが、梅雨入りは実際の天候の経過をもとに判断される季節現象です。
気象庁によると、梅雨入りには平均的に5日程度の移り変わりの期間があり、後から実際の天候経過を検討して確定されます。
梅雨入りの平年時期にも地域差があります。
例えば近畿地方では平年の梅雨入りが6月6日頃となっており、芒種の時期と非常に近くなっています。
一方、沖縄や奄美では芒種より前に梅雨入りしていることが多く、東北ではさらに遅くなる傾向があります。
そのため、
「芒種=梅雨入りの日」
ではなく、
「芒種の頃は、多くの地域で梅雨を意識し始める時期」
と考えるとわかりやすいでしょう。
芒種の七十二候
二十四節気をさらに約5日ずつ3つに分けたものを「七十二候(しちじゅうにこう)」といいます。
現在一般的に使われている七十二候では、芒種は次の3つに分けられています。
蟷螂生(かまきりしょうず)

芒種の最初の候です。
カマキリが生まれ始める頃を表しています。
カマキリは卵の状態で冬を越し、暖かくなると小さな幼虫が姿を現します。
実際にふ化する時期は地域や気温によって異なりますが、生き物の変化から初夏を感じる七十二候です。
腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)

芒種の次の候です。
昔は、腐った草などからホタルが生まれると考えられていたことを表した言葉です。
もちろん、実際にホタルが草から生まれるわけではありません。
ホタルは卵から幼虫、さなぎを経て成虫になります。
七十二候には、当時の人々が自然を観察して感じた季節のイメージや考え方が残されています。
初夏の夜にホタルの光を楽しめる地域もあり、昔から季節を感じさせる生き物として親しまれてきました。
梅子黄(うめのみきばむ)

芒種の最後の候です。
梅の実が黄色く熟し始める頃を表しています。
春先に花を咲かせた梅は、初夏になると実を大きくし、少しずつ色づいていきます。
梅干しや梅酒、梅シロップなどを作るための梅が多く出回る時期とも重なります。
国立天文台の七十二候では、
蟷螂生 → 腐草為蛍 → 梅子黄
という順番になっています。
生き物や植物の変化から、夏が少しずつ深まっていく様子が表されています。
芒種と「入梅」の違い
芒種の頃には「入梅(にゅうばい)」という言葉も耳にするようになります。
入梅は二十四節気ではなく「雑節」のひとつです。
国立天文台では、入梅を太陽黄経80度となる頃としており、夏至のおよそ10日前にあたります。
芒種は太陽黄経75度なので、暦の上では芒種を迎えた数日後に入梅が訪れます。
ただし、この入梅も実際の梅雨入りを示すものではありません。
整理すると、
芒種 → 二十四節気のひとつ
入梅 → 梅雨の季節を表す雑節
気象庁の梅雨入り → 実際の天候経過をもとに判断されるもの
という違いがあります。
芒種の頃にある行事や暮らし
芒種そのものに、日本全国で共通して行う決まった行事はありません。
しかし、6月上旬から中旬頃は、夏や梅雨に向けた暮らしの変化が多い時期です。
田植え

地域によっては芒種の頃に田植えが行われます。
ただし、現在の田植えの時期は地域によってかなり異なります。
暖かい地域ではすでに終わっていることもあれば、標高の高い地域などでは時期が遅くなる場合もあります。
芒種は「必ず田植えをする日」ではなく、農作業と深い関係を持つ昔からの季節の目安です。
衣替え

6月1日頃を目安に、学校や職場で夏服へ衣替えすることがあります。
芒種の頃には半袖など夏向けの服装で過ごせる日も増えてきます。
ただし、梅雨の時期は肌寒く感じる日もあるため、気温に合わせて薄手の上着を用意しておくと過ごしやすいでしょう。
梅仕事

梅の実が出回る時期になると、
梅干し
梅酒
梅シロップ
梅ジャム
などを作る「梅仕事」を楽しむ家庭もあります。
七十二候にも「梅子黄」があるように、梅の実は芒種の頃を感じさせる代表的な植物のひとつです。
芒種の頃に楽しめる食べ物
芒種の日に全国共通で食べる決まった行事食はありません。
6月頃に出回る初夏らしい食材を楽しむと、季節を感じやすいでしょう。
アユ(鮎)

アユは初夏から夏を代表する魚として知られています。
塩焼きなどで食べられることが多く、川魚ならではの味わいを楽しめます。
漁の時期や旬は地域によって異なりますが、初夏を感じられる食材のひとつです。
さくらんぼ

国産のさくらんぼも初夏になると店頭で見かける機会が増えます。
品種や産地によって収穫時期は異なりますが、6月頃に旬を迎えるものも多くあります。
季節感を楽しみやすい果物のひとつです。
梅

芒種の七十二候にも登場する梅は、この時期を代表する食材のひとつです。
青梅や熟した梅など、用途に合わせた梅が店頭に並びます。
梅干しや梅酒、梅シロップなどさまざまな形で楽しめます。
生の青梅はそのまま食べず、適切に加工して利用しましょう。
らっきょう

初夏になると、生のらっきょうも店頭に並ぶようになります。
甘酢漬けなどにして保存しながら楽しむことができます。
梅と同じように、この時期に家庭で漬ける方もいる食材です。
びわ

びわは初夏に楽しめる果物のひとつです。
品種や産地によって時期は異なりますが、5月から6月頃に多く出回ります。
やわらかな果肉とやさしい甘さが特徴です。
芒種の前後には「小満」と「夏至」がある
二十四節気では、芒種のひとつ前が小満、次が夏至です。
季節は、
小満 → 芒種 → 夏至
という順番で進みます。
国立天文台では、小満が太陽黄経60度、芒種が75度、夏至が90度とされています。
小満
小満は5月下旬頃に訪れます。
草木や生き物などが成長して、天地に満ち始める頃です。
関連記事:小満とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
夏至
夏至は6月下旬頃に訪れます。
北半球では一年の中で昼の時間が最も長くなる頃です。
関連記事:夏至とは?意味や時期・季節の特徴・食べ物や行事をわかりやすく解説
芒種についてよくある質問
芒種は何と読む?
「ぼうしゅ」と読みます。
二十四節気のひとつで、稲など芒のある穀物を植える頃を表しています。
芒種は毎年同じ日?
完全に同じ日ではありません。
太陽の位置によって決まり、おおむね6月5~6日頃です。
「6月上旬頃」と覚えておけばよいでしょう。
芒種の「芒」とは何?
「芒」は「のぎ」と読み、稲や麦などの穂先にある針のような部分を指します。
芒種という名前は、こうした穀物と関係しています。
芒種は夏?
芒種は夏です。
二十四節気では立夏から立秋の前までが暦の上での夏にあたり、芒種は夏の3番目の節気です。
芒種と梅雨入りは同じ?
同じではありません。
芒種は太陽の位置によって決まる二十四節気です。
一方、梅雨入りは実際の天候経過をもとに気象庁が判断する季節現象なので、地域や年によって時期が変わります。
芒種と入梅は同じ?
同じではありません。
芒種は二十四節気、入梅は雑節です。
暦の上では芒種の少し後に入梅が訪れます。
芒種には何を食べる?
芒種の日に全国共通で食べる決まった行事食はありません。
梅やらっきょう、びわ、さくらんぼなど、初夏に出回る食材を楽しむとよいでしょう。
まとめ|芒種は穀物の成長と梅雨の訪れを感じる頃
芒種は二十四節気のひとつで、6月上旬頃に訪れます。
国立天文台では「稲などの芒のある穀物を植える」頃とされ、昔から農作業と深く関係してきた季節の節目です。
芒種の頃には、
- 木々の緑がさらに濃くなる
- 昼の時間が長くなる
- 地域によって梅雨入りを迎える
- 田植えなどの農作業が行われる
- 梅の実が熟し始める
- ホタルなど初夏の生き物を楽しめる
といった季節の変化が見られます。
七十二候では、
蟷螂生 → 腐草為蛍 → 梅子黄
と進み、カマキリ・ホタル・梅という初夏らしい自然の変化が表されています。
芒種の次に訪れるのは「夏至」です。
雨に濡れた木々や梅の実、生き物の姿などに目を向けながら、梅雨から本格的な夏へ向かっていく季節の変化を楽しんでみてください。

