カレンダーやニュースなどで「秋分」という言葉を見かけたことはあっても、
「秋分って何の日?」
「秋分の日とは同じ意味?」
「なぜお彼岸やおはぎと関係があるの?」
と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
秋分(しゅうぶん)は、季節の移り変わりを表す「二十四節気」のひとつです。
秋分を迎える頃になると、夏に比べて日が短くなり、朝晩にも秋らしさを感じるようになります。また、秋分の日は秋のお彼岸の中日にあたり、お墓参りをする家庭も多い時期です。
この記事では、秋分の意味や時期、秋分の日との違い、お彼岸との関係、食べ物や行事についてわかりやすく解説します。
秋分とは?
「秋分」とは?

秋分は、1年を24の季節に分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつです。
二十四節気では、
立春
↓
春分
↓
立夏
↓
夏至
↓
立秋
↓
秋分
↓
立冬
↓
冬至
というように、太陽の動きをもとに季節の変化を表しています。
秋分は、二十四節気の中では秋のちょうど中頃にあたる節目です。
国立天文台では、秋分を太陽の黄経が180度になるときと定めています。二十四節気では白露の次、寒露の前にあたります。
暦の上では秋の中頃ですが、日本では地域によってまだ日中に暑さを感じる日もあります。
一方で、朝晩は涼しくなったり、日が暮れる時間が早くなったりするため、季節が夏から秋へ移っていることを感じやすい時期です。
二十四節気そのものについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

秋分はいつ頃?

秋分は、毎年9月22日~24日頃に訪れます。
「毎年9月23日」と思われることもありますが、秋分の日付は固定されているわけではありません。
秋分は、太陽が天球上の「秋分点」を通過する時刻を天文学的に計算して決められるため、年によって日付が変わります。
内閣府でも、秋分の日は法律で特定の日付が決められておらず、「秋分日」と定められていると説明しています。実際の日付は国立天文台が天文学的な計算をもとに公表します。
そのため、
「秋分=9月下旬頃」
と覚えておけば十分です。
また、二十四節気では秋分の日だけを指す場合だけでなく、秋分から次の二十四節気である「寒露」までのおよそ15日間を秋分の時期として扱うこともあります。
秋分と「秋分の日」は何が違う?
「秋分」と「秋分の日」は似ていますが、厳密には意味が少し異なります。
秋分は、季節を表す二十四節気のひとつです。
一方の秋分の日は、日本の「国民の祝日」です。
祝日法では、秋分の日について、
「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」
日と定められています。
つまり、
秋分 → 季節・暦を表す言葉
秋分の日 → 日本の国民の祝日
という違いがあります。
秋分の日は秋分を含む日になるため、実際のカレンダーでは両者が同じ日になりますが、それぞれの意味は異なります。
秋分は「昼と夜の長さが同じ日」なの?
秋分について、
「昼と夜の長さが同じになる日」
と聞いたことがある方も多いでしょう。
大まかな季節の説明としては間違いではありませんが、実際には昼と夜の長さが完全に同じになるわけではありません。
国立天文台によると、日の出・日の入りの定義や大気による光の屈折などの影響によって、春分や秋分の日でも実際には昼の方が少し長くなります。
そのため、より正確に表現するなら、
「秋分は昼と夜の長さがほぼ同じになる頃」
と考えるとよいでしょう。
秋分を過ぎると日本では徐々に昼の時間が短くなり、夜の時間が長くなっていきます。
「最近、暗くなるのが早くなった」と感じ始めるのも、この時期ならではの季節の変化です。
秋分とお彼岸の関係
秋分と深い関わりがあるのが「お彼岸」です。
秋のお彼岸は、秋分の日を中日として前後3日ずつを合わせた7日間です。
最初の日を「彼岸入り」、秋分の日を「中日」、最後の日を「彼岸明け」と呼びます。
お彼岸になると、お墓参りをしたり仏壇をきれいにしたりして、先祖を供養する家庭もあります。
では、なぜ秋分がお彼岸の中心なのでしょうか。
仏教では、私たちが暮らす世界を「此岸(しがん)」、悟りの世界を「彼岸(ひがん)」と表すことがあります。
彼岸は西にあると考えられており、太陽がほぼ真西に沈む春分や秋分の頃は、此岸と彼岸が近づく時期として捉えられるようになったとされています。
こうした考え方と、日本に古くからある祖先を大切にする文化などが結びつき、現在のお彼岸の習慣につながっていったと考えられています。
秋分の頃の七十二候
「二十四節気」を更に詳細に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるもので、約5日ごとに変わる気象や自然界の変化を記録しています。
この七十二候を通じて、秋分がどのような季節として理解されているかがより明確になります。現代ではあまり目にすることのない自然の様子も含まれています。
雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)

秋分を迎える頃にあたる最初の候です。
文字どおり、夏によく聞かれた雷の音が次第に聞こえなくなっていく頃を表しています。
空や風にも秋らしい変化が現れ始める時期です。
蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)

秋分の次の候です。
寒い季節に備えて、虫たちが土の中などに隠れ始める様子を表しています。
春の二十四節気「啓蟄」では冬ごもりをしていた虫が外へ出てきますが、「蟄虫坏戸」はその反対に、虫たちが再び寒い季節への準備を始める時期です。
水始涸(みずはじめてかる)

秋分の最後の候です。
田んぼの水を抜き、稲刈りの準備を始める頃を表しています。
現代では農作業の時期は地域や品種によって異なりますが、昔の人々が自然の変化と農作業を結び付けながら季節を感じていたことがわかります。
秋分にはどんな行事がある?
お墓参り

秋分の時期を代表する習慣がお墓参りです。
秋のお彼岸に合わせて家族でお墓を訪れ、
- 墓石を掃除する
- 周囲の草を取る
- 花やお供え物を用意する
- 手を合わせる
といった形で先祖を供養する家庭があります。
ただし、お彼岸だから必ずお墓参りをしなければならないという決まりがあるわけではありません。
遠方に住んでいるなど、お墓へ行くのが難しい場合は、自宅で故人を思い出す時間を作るだけでもよいでしょう。
仏壇を掃除する

自宅に仏壇がある場合は、お彼岸をきっかけに掃除をする家庭もあります。
ホコリを取り、お花やお供え物を用意して手を合わせるなど、それぞれの家庭に合った方法で過ごします。
秋の自然を楽しむ

秋分は、暑さが少しずつ落ち着いて外で過ごしやすくなってくる時期でもあります。
秋の草花を眺めたり、散歩をしたり、旬の食材を楽しんだりするのも秋分らしい過ごし方です。
特別な行事をしなくても、日が短くなったことや朝晩の涼しさなど、身近な季節の変化に目を向けてみるとよいでしょう。
秋分に食べるものは?
秋分の日に「必ずこれを食べる」という決まった行事食があるわけではありません。
ただし、お彼岸と深い関係があるおはぎは、秋分の時期を代表する食べ物としてよく知られています。
そのほか、秋分の頃には栗やきのこ、さつまいもなど、秋らしい食材も旬を迎えます。
おはぎ

秋のお彼岸で特になじみ深い食べ物がおはぎです。
もち米などを使った餅をあんこで包んだ食べ物で、お墓や仏壇へのお供え物としても用いられます。
「おはぎ」という名前は、秋に咲く「萩(はぎ)」の花に由来するといわれています。
春のお彼岸には「ぼたもち」と呼ばれることがあり、こちらは春に咲く「牡丹(ぼたん)」に由来するとされています。
ただし、「おはぎ」と「ぼたもち」の呼び分け方は地域や家庭によって異なり、現在では季節を問わず同じ名称で販売されることもあります。
栗

秋分の頃は、栗が出回り始める季節です。
栗ごはんや甘露煮、栗きんとんなど、秋ならではの料理やお菓子を楽しめます。
栗そのものが秋分の日の行事食というわけではありませんが、季節を感じられる代表的な秋の味覚です。
きのこ

しいたけ、しめじ、舞茸などのきのこ類も、秋をイメージする食材のひとつです。
現在では一年を通して販売されているものも多いですが、天然物には秋に旬を迎える種類があります。
炊き込みご飯や鍋、汁物など、朝晩が涼しくなる秋分の頃に食べやすい料理にも取り入れられます。
さつまいも

秋になると、さつまいもも店頭でよく見かけるようになります。
焼きいもだけでなく、炊き込みご飯や煮物、スイートポテトなど、食事からお菓子まで幅広く楽しめる秋の食材です。
こちらも秋分専用の食べ物ではありませんが、秋らしい季節感を楽しみたいときにおすすめです。
秋分の前後には「白露」と「寒露」がある
二十四節気では、秋分のひとつ前が白露(はくろ)、次が寒露(かんろ)です。
白露は、草花に朝露がつき始め、少しずつ秋らしさが感じられる頃。
秋分を経て寒露になると、朝晩の涼しさがさらに増し、秋が深まっていきます。国立天文台でも二十四節気の並びは「白露 → 秋分 → 寒露」とされています。
秋の季節の移り変わりを続けて知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。
関連記事:白露とは?意味や時期・食べ物や季節の特徴をわかりやすく解説
関連記事:寒露とは?意味や時期・食べ物や季節の特徴をわかりやすく解説
秋分についてよくある質問
秋分の日は毎年同じ日?
いいえ。毎年同じ日ではありません。
秋分の日は法律で「9月○日」と固定されておらず、天文学上の秋分日によって決まります。内閣府によると、秋分の日は9月22日から24日の間で移動します。
そのため、「秋分は9月下旬頃」と覚えておくとよいでしょう。
秋分と秋分の日は同じ?
日付としては同じになりますが、意味は異なります。
秋分は二十四節気のひとつで、季節を表す言葉です。
秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」ことを趣旨とした国民の祝日です。
秋分の日は昼と夜がちょうど12時間ずつ?
厳密には12時間ずつではありません。
日の出・日の入りの定義や大気による光の屈折などによって、日本では秋分の日も昼の時間の方が少し長くなります。
「昼と夜の長さがほぼ同じになる頃」と考えるのがわかりやすいでしょう。
秋分の日には何をすればいい?
必ず行わなければならない行事はありません。
秋のお彼岸にあたるため、お墓参りをしたり、仏壇を掃除したり、おはぎをお供えしたりする家庭があります。
家族で先祖や亡くなった人を思い出したり、秋の季節を感じながらゆっくり過ごしたりするのもよいでしょう。
まとめ|秋分は秋の深まりを感じ始める季節の節目
秋分は、1年を24の季節に分けた二十四節気のひとつで、9月下旬頃に訪れる秋の大切な節目です。
昼と夜の長さがほぼ同じになる頃で、秋分を過ぎると昼は次第に短く、夜は長くなっていきます。
また、秋分の日は国民の祝日であり、秋のお彼岸の中日でもあります。
お墓参りやおはぎなどの習慣がよく知られていますが、必ず決まった過ごし方をしなければならないわけではありません。
秋分の頃になったら、
「最近、日が短くなったな」
「朝晩が涼しくなってきたな」
と、普段の生活の中で季節の変化を感じてみるのもよいでしょう。
白露から秋分、そして寒露へと季節が進むにつれて、少しずつ秋も深まっていきます。
昔から受け継がれてきた暦の意味を知ることで、毎年訪れる秋をこれまでとは少し違った視点から楽しめるかもしれません。

