日本の伝統的な年中行事では、「二十四節気」と呼ばれるものがあり、これは1年を24に分けて季節を区切る方法です。
その中の一つに「小満」という時期があります。この時期は、自然界が活発に成長する季節を表しています。
この記事では、「小満」とはどういう意味を持つのか、その特徴について解説します。
二十四節気とは
一年を太陽の動きに沿って分けたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。
具体的には、太陽が通る道、つまり黄道を24に分け、それぞれの部分に季節を割り当てます。例えば、夏至は一年で日が最も長い日で、冬至は最も短い日です。
これらを基にして昼夜の長さが等しい春分や秋分でさらに季節を細かく分け、立春、立夏、立秋、立冬などの時期が設定され、季節を細かく8つに分けます。
そして、これらをさらに細分化して、二十四の期間に名前を付けたのが二十四節気なのです。
二十四節気の一覧も用意しています。ぜひ参考にしてください。
小満とは?
「小満」は、二十四節気の一つで、読み方は「しょうまん」と言います。この時期は植物が生い茂り、豊かになる季節を指します。
特に、葉が濃く茂り、美しい風景が見られます。
この「小満」という名前は、秋に植えた麦が実をつけ始めることから「少しずつ満足していく」という意味があります。さらに、この時期は「陽気が盛んで、万物が成長し満ちる」という意味合いも含まれています。
2024年の「小満」はいつ?
2024年における「小満」は5月20日(月曜日)になります。
通常、毎年5月21日頃に訪れるものの、年によっては日付が少し変わることがあります。
「小満」という時期は、単に5月21日だけを指すわけではなく、次の節気「芒種」の前日までの約2週間を含む期間を指すこともあります。
この時期は、農家では田植えの準備が始まる大切な時期です。西日本では梅雨入りする前の「走り梅雨」と呼ばれる天候が見られることもあります。
その後、梅雨に入る前に晴れ間が続き、初夏の暑さを感じることもあります(沖縄を除く)。
小満の「七十二候」
「二十四節気」を更に詳細に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるもので、約5日ごとに変わる気象や自然界の変化を記録しています。
この七十二候を通じて、小満がどのような季節として理解されているかがより明確になります。現代ではあまり目にすることのない自然の様子も含まれています。
第二十二候 起食桑【かいこおきてくわをはむ】 [5月21日〜25日頃]
この期間は、蚕が桑の葉を食べて絹糸を紡ぐ繭を作り始める時期です。特に、明治時代から昭和初期、さらには昭和30年代まで、養蚕業が日本の重要な産業でした。一部の地域では、蚕を「おかいこさま」と敬称して呼ぶ習慣もありました。また、蚕はミツバチとともに家畜として飼育される昆虫の一つです。
第二十三候 紅花栄【べにばなさかう】 [5月26日〜30日頃]
この時期には、染料や食用油の原料として栽培されるベニバナが華やかに咲き誇ります。また、クルマエビも旬を迎え、刺身や寿司、天ぷらなどの高級食材として人気があります。
第二十四候 麦秋至【むぎのときいたる】 [5月31日〜6月4日頃]
この時期は、麦が成熟して黄金色の豊かな穂を実らせる時期です。ここで言及される「秋」とは、穀物の収穫期を指します。初夏であっても、この時期は「麦の秋」と呼ばれることがあります。
小満の行事
小満は、夏が近づくにつれて天候が安定し、農作業が一息つく時期です。この季節には、日本各地で小満を祝うイベントが開催されます。
小満祭
特に有名なのは、長野県佐久市臼田で行われる『稲荷神社の小満祭』です。このお祭りでは、商店街や千曲川の河川敷に300店以上の露店が出店し、多くの観光客でにぎわいます。キツネの嫁入り行列や音楽団のパレード、小満太鼓の演奏など、さまざまな催しが行われます。通常、このイベントは5月の第3日曜日に開催されるので、小満を体感したい方や地元の方は、佐久市臼田への訪問をお勧めします。
衣替え
夏の衣替えは通常6月1日を目安とします。衣替えは、季節に合わせて服装を変える伝統的な習わしで、平安時代には宮中で行われていた行事です。小満の時期には不安定な天気(走り梅雨)が続くことがありますが、その後に晴れの日が来ることが多く、この晴れ間が衣替えの適切なタイミングです。また、冬服をしまう際には、梅雨を見越して除湿や防虫対策を行うことが大切です。
小満の食べ物
そら豆
そら豆は初夏に特有の美味しさを持ち、その旬は4月から6月にかけての期間です。この野菜は鮮度が命で、収穫後の美味しさは約3日間が限度と言われています。購入したら、早めに調理して楽しむことがおすすめです。
塩茹ではもちろん、焼きそら豆やポタージュ、天ぷらなど、様々な調理法でそら豆を味わうことができます。
びわ
びわは初夏の旬を迎えます。ハウス栽培された早生種は1月から市場に出回ることもありますが、一般的な露地栽培のびわは4月から店頭に並び始め、5月から6月に最盛期を迎えます。びわは甘酸っぱい味わいとジューシーな食感が特徴ですが、繊細な果物なので取り扱いに注意が必要です。冷蔵庫での保存は避け、早めに食べることが推奨されます。
キス
キスは初夏から夏にかけて旬を迎えます。特に6月から10月の産卵期前のキスは、脂がのって身がしまっており、天ぷらや唐揚げ、塩焼き、新鮮なら刺身としても楽しめます。
まとめ
小満は夏の気配が感じられる節気です。
夏至や冬至、立春といった節気に比べるとあまり知られていないかもしれませんが、植物の成長が活発になり、天候が安定してくる大切な時期です。
2024年においては5月20日が小満に当たりますが、節気は一日限りではなく、「芒種」の前日である6月4日までの期間を含むこともあります。