日本には、一年を24の時期に分けて季節を表す「二十四節気」という独特の体系があります。その中の「立夏」は、暦の上で夏の始まりを意味しています。
この季節は、緑が鮮やかになり、暖かい陽気が夏の訪れを予感させます。そんな立夏の時期は、いったいどんな意味を持つのでしょうか?
この記事では、立夏という季節にスポットライトを当て、その意味や背景、特徴をわかりやすくご紹介します。
二十四節気とは
一年を太陽の動きに沿って分けたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。
具体的には、太陽が通る道、つまり黄道を24に分け、それぞれの部分に季節を割り当てます。例えば、夏至は一年で日が最も長い日で、冬至は最も短い日です。
これらを基にして昼夜の長さが等しい春分や秋分でさらに季節を細かく分け、立春、立夏、立秋、立冬などの時期が設定され、季節を細かく8つに分けます。
そして、これらをさらに細分化して、二十四の期間に名前を付けたのが二十四節気なのです。
二十四節気の一覧も用意しています。ぜひ参考にしてください。
立夏とは?
立夏は、二十四節気の中で7番目にあたり、夏の幕開けを告げる期間です。
この日は、夏の始まりを象徴する大切な日。気温の上昇とともに、日中は軽い服装で過ごせるようになります。
5月は、気温がちょうど良く湿度も低いため、アウトドアに最適な季節です。ハイキングや散歩にはうってつけの時期です。
また、散った桜の葉が再び生い茂り、深い緑色を見せるのもこの時期の特徴の一つです。
2024年の「立夏」はいつ?
「立夏」というと夏を連想しますが、実際には毎年5月6日頃に設定されています。
2024年では、立夏は5月5日(日曜日)になります。
興味深いことに、この日は「こどもの日(端午の節句)」とも重なるため、立夏が少し影を潜めることも。端午の節句の盛り上がりに隠れがちな立夏ですが、それぞれの日の意味を大切にしたいものです。
立夏の「七十二候」
「二十四節気」を更に詳細に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるもので、約5日ごとに変わる気象や自然界の変化を記録しています。
この七十二候を通じて、立夏がどのような季節として理解されているかがより明確になります。現代ではあまり目にすることのない自然の様子も含まれています。
第十九候 蛙始鳴【かえるはじめてなく】 [5月5日~9日頃]
冬眠を終えたカエルが、田んぼや池の周辺で元気に鳴き始める時期です。小さなカエルが田畑や水辺で跳ねる姿も目立ちます。カエルの鳴き声は、オスがメスを引き寄せるためのもので、彼らは生まれた場所に戻ると言われています。
第二十候 蚯蚓出【みみずいずる】 [5月10日~14日頃]
暖かくなると、冬眠していたミミズが土の中から姿を現します。ミミズは土の有機物を食べ、その排泄物が豊かな土壌を作り出すため、自然界において大切な存在です。
第二十一候 竹笋生【たけのこしょうず】 [5月15日~20日頃]
竹の新芽が地上に出てくる時期です。特に、この時期に出るのは根曲がり竹などの種類が多いです。また、アーティチョークもこの時期が旬。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、イタリアやフランスの料理にはよく使われる野菜で、特に柔らかい部分が食べられます。
立夏の行事
立夏の時期は、日本で様々な特別な行事やイベントが盛んに行われます。この季節はゴールデンウィークと重なることが多く、そのため行事はいつも以上に盛大に祝われます。立夏は主に5月初旬から中旬にかけての期間とされています。
【端午の節句(こどもの日)】
5月5日は、昔から男の子の健やかな成長を願う端午の節句として知られています。現在では、この日は国民の祝日「こどもの日」として広く祝われています。
この日には五月人形を飾ったり鯉のぼりを揚げたりして、子どもたちの成長を祝います。また、地域によって異なるが、関東では柏餅、関西ではちまきなど、節句にちなんだ特別な料理を楽しむ習慣があります。
【母の日】
立夏の時期に近い5月の第2日曜日は「母の日」として広く知られています。この日は、日頃の家庭での母親たちの努力に感謝を示すための日です。
母の日には、感謝の気持ちを込めてカーネーションを贈る風習があり、カーネーションの色にはそれぞれ異なる花言葉があります。例えば、赤いカーネーションは「母への愛」や「母の愛情」を表しています。他にも、食事や旅行の招待、家事を引き受けて母親に休息を提供することも、一般的なプレゼントです。
【葵祭】
5月15日には、京都の三大祭りの一つである「葵祭」が開催されます。この祭りは6世紀から続く長い歴史を持ち、京都の文化に深く根ざした行事です。
立夏の食べ物
【新茶】
春分の日から88日目を迎える「八十八夜」は立夏の時期にあたります。この時期は新茶の収穫が行われ、新鮮な茶の味わいを楽しむのに最適なタイミングです。
【プリンスメロン】
通常のメロンの旬はまだ少し先ですが、プリンスメロンは早く市場に出回るため、立夏にぴったりの果物と言えます。
【柏餅】
5月5日の端午の節句、別名菖蒲の節句には、伝統的に柏餅を食べる習慣があります。子孫繁栄を象徴する柏の葉で包まれた柏餅は、この節句に相応しい食べ物です。
まとめ
立夏はゴールデンウィークの後半と重なり、新緑が美しい時期です。安定した天候のおかげで、ピクニックやハイキングなどのアウトドア活動に最適な季節。
この時期には様々な祭りやイベントが開催されるため、自然を感じながら生き物や植物の観察を楽しむのも良いでしょう。