カレンダーなどで「立夏(りっか)」という言葉を見かけて、
「立夏って何?」
「夏至とはどう違うの?」
「まだ5月なのに、なぜ夏なの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
立夏は、季節の移り変わりを表す「二十四節気」のひとつです。
暦の上では夏の始まりを表しますが、日本ではまだ本格的な暑さが訪れる前の時期。新緑が鮮やかになり、日差しの暖かさや日中の気温から少しずつ夏の気配を感じ始めます。
この記事では、立夏の意味や時期、夏至との違い、七十二候、立夏の頃に行われる行事や旬の食べ物について、わかりやすく解説します。
立夏とは?

立夏は、1年を24の季節に分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつです。
二十四節気では、
立春
↓
春分
↓
立夏
↓
夏至
↓
立秋
↓
秋分
↓
立冬
↓
冬至
というように、太陽の動きをもとに季節の変化を表しています。
立夏は二十四節気の7番目にあたり、春の終わりから夏へ移り変わる節目です。
国立天文台では、立夏を太陽の黄経が45度になる時期とし、「夏の気配が感じられる」と説明しています。
暦の上では、この立夏から立秋の前までが夏にあたります。
ただし、立夏を迎えたからといって、すぐに真夏のような暑さになるわけではありません。
地域によって気候は異なりますが、日差しが強くなり、新緑が鮮やかになって、少しずつ夏らしさを感じ始める頃と考えるとわかりやすいでしょう。
二十四節気について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

立夏はいつ頃?

立夏は、毎年5月5日~6日頃に訪れます。
日付が完全に固定されているわけではなく、太陽の位置によって決まるため、年によって前後することがあります。
そのため、
「立夏=5月上旬頃」
と覚えておけば十分です。
二十四節気では、立夏の日だけでなく、立夏から次の節気である「小満(しょうまん)」までのおよそ15日間を、立夏の期間として扱うこともあります。
立夏のひとつ前は「穀雨(こくう)」、次は「小満」です。
季節の流れとしては、
穀雨 → 立夏 → 小満
と春から夏へ移っていきます。
立夏と夏至の違いは?
「立夏」と「夏至」は、どちらも夏に関係する言葉ですが意味は異なります。
立夏
立夏は、暦の上で夏が始まる頃です。
毎年5月上旬頃にあたり、新緑や暖かい日差しなどから夏の気配を感じ始める時期です。
夏至
夏至は、毎年6月下旬頃に訪れる二十四節気です。
北半球では、一年の中で昼の時間が最も長くなる頃にあたります。
つまり、
立夏 → 夏の始まり
夏至 → 昼の長さが一年で最も長くなる頃
という違いがあります。
立夏から夏至までは1か月以上あるため、立夏の時点ではまだ「初夏」と呼ばれる季節です。
立夏は「夏の始まり」なのに、なぜまだ涼しい?
二十四節気は、現在の気温だけを基準にして作られたものではありません。
太陽の動きをもとに一年を24等分しているため、私たちが普段感じる「真夏」と、暦の上での夏には少しずれがあります。
そのため立夏を迎える5月上旬は、
- 朝晩は涼しい
- 日中は暖かい
- 日差しが強くなる
- 新緑が鮮やかになる
といった、春と夏の間のような気候になることがあります。
「立夏だから暑い日」と考えるのではなく、
夏へ向かい始める季節の節目
と考えるとよいでしょう。
立夏の頃に見られる季節の変化
新緑が鮮やかになる
立夏の頃は、春に芽吹いた木々の葉が成長し、緑がいっそう濃くなっていきます。
桜の季節が終わったあと、街路樹や山々が鮮やかな緑に包まれるのもこの時期です。
「新緑の季節」という言葉がよく似合う頃で、散歩や公園などでも季節の変化を感じやすくなります。
日差しが強くなってくる
立夏の頃になると、春先に比べて太陽の位置が高くなり、日差しも強くなっていきます。
気温がそれほど高くない日でも、屋外で長時間過ごす場合は紫外線対策を意識しておくとよいでしょう。
日が長くなる
春分を過ぎてから夏至に向かうまでは、昼の時間が少しずつ長くなります。
立夏の頃には、
「夕方になっても明るい」
と感じることも増えてきます。
日照時間の変化から季節の移り変わりを感じられるのも、立夏の特徴のひとつです。
立夏の「七十二候」
二十四節気をさらに約5日ずつに分けたものを「七十二候(しちじゅうにこう)」といいます。
国立天文台の七十二候では、立夏の頃は次の3つに分けられています。
蛙始鳴(かわずはじめてなく)

立夏の最初の頃を表す七十二候です。
暖かさが増し、水田や池などでカエルの鳴き声が聞こえ始める様子を表しています。
カエルの声が聞こえるようになると、田植えの季節が近づいてきたことを感じる地域もあるでしょう。
蚯蚓出(みみずいずる)

立夏の次の候です。
地中で過ごしていたミミズが、暖かくなった土の中から姿を現し始める頃を表しています。
植物だけでなく、土の中の生き物も活発になっていく時期です。
竹笋生(たけのこしょうず)

立夏の最後の候です。
タケノコが地面から顔を出す頃を表しています。
実際のタケノコの時期は種類や地域によって異なりますが、七十二候からは自然の変化を細かく観察していた昔の人々の暮らしが伝わってきます。
立夏の頃にある主な行事
立夏そのものに「この行事を行う」という決まりがあるわけではありません。
ただし、5月上旬から中旬にあたるため、日本ではさまざまな行事と時期が重なります。
端午の節句・こどもの日

5月5日は「こどもの日」です。
もともとは五節句のひとつである「端午の節句」として知られ、現在では子どもの健やかな成長を願う日として親しまれています。
この時期には、
- こいのぼりを飾る
- 五月人形や兜を飾る
- 柏餅やちまきを食べる
- 菖蒲湯に入る
といった習慣があります。
立夏は5月5~6日頃なので、年によってはこどもの日と同じ日になることもあります。
ただし、立夏とこどもの日は別のものです。
母の日

5月の第2日曜日は「母の日」です。
立夏の期間と重なることが多く、カーネーションやプレゼントなどで日頃の感謝を伝える日として親しまれています。
立夏そのものの伝統行事ではありませんが、5月を代表する行事のひとつです。
葵祭

京都では、毎年5月15日頃に「葵祭」が行われます。
京都三大祭のひとつとして知られ、平安時代を思わせる装束を身につけた行列などで有名です。
立夏の期間と重なる代表的な季節行事のひとつといえるでしょう。
立夏の頃に楽しめる食べ物
立夏には「必ずこれを食べる」という決まった行事食があるわけではありません。
ただし、5月上旬から中旬には、初夏らしい食べ物や端午の節句にちなんだものを楽しめます。
新茶

立夏の少し前には「八十八夜」があります。
八十八夜は、立春から数えて88日目にあたる日本独自の雑節です。
この頃は新茶の季節としても知られており、茶産地によって時期は異なりますが、新しく摘まれた茶葉を使ったお茶が出回り始めます。
爽やかな香りの新茶を味わうのも、この季節ならではの楽しみです。
柏餅

柏餅は、5月5日の端午の節句に食べられる代表的な和菓子です。
あん入りの餅を柏の葉で包んだもので、現在ではスーパーや和菓子店でもよく見かけます。
柏の葉は新しい葉が育つまで古い葉が落ちにくいことから、子孫繁栄を願う縁起物として使われるようになったとされています。
立夏そのものの食べ物ではありませんが、時期が近いため初夏を感じる食べ物のひとつです。
たけのこ

春から初夏にかけては、タケノコを楽しめる時期でもあります。
七十二候にも「竹笋生」とあるように、タケノコは立夏の季節を表す植物のひとつです。
種類や地域によって旬は異なりますが、
- たけのこご飯
- 若竹煮
- 天ぷら
- 吸い物
など、さまざまな料理で楽しめます。
そら豆

そら豆も春から初夏にかけて出回る食材です。
塩ゆでにしたり、焼いたりして手軽に楽しめます。
立夏の行事食というわけではありませんが、初夏らしい旬の味覚として食卓に取り入れやすいでしょう。
立夏の前後には「穀雨」と「小満」がある
二十四節気では、立夏のひとつ前が穀雨(こくう)、次が小満(しょうまん)です。
国立天文台の二十四節気でも、
穀雨 → 立夏 → 小満
という順番になっています。
穀雨
穀雨は4月下旬頃。
春の雨が穀物や植物を育てる頃を表した節気です。
穀雨を過ぎると春も終わりに近づき、立夏を迎えます。
関連記事:穀雨とは?意味や時期・食べ物や行事をわかりやすく解説
小満
小満は5月下旬頃。
草木や生き物が成長し、天地に生命が満ち始める頃を表しています。
立夏で始まった暦の上での夏が、小満になるとさらに進んでいきます。
関連記事:小満とは?意味や時期・食べ物や行事をわかりやすく解説
立夏についてよくある質問
立夏は毎年同じ日?
完全に同じ日ではありません。
太陽の位置によって決まるため年によって変わりますが、5月5~6日頃になるのが一般的です。
具体的な日付を覚えるより、「5月上旬頃」と覚えておくとよいでしょう。
立夏は祝日?
立夏そのものは国民の祝日ではありません。
5月5日の「こどもの日」は国民の祝日ですが、立夏とは別のものです。内閣府の国民の祝日一覧にも立夏は含まれていません。
年によっては立夏とこどもの日が同じ日になることがありますが、意味は異なります。
立夏から本当に夏になる?
暦の上では、立夏から夏が始まります。
ただし、実際の気候は地域や年によって異なり、本格的な夏の暑さになるのはもう少し先です。
立夏は「真夏の始まり」というより、夏の気配を感じ始める頃と考えるとよいでしょう。
立夏と夏至は同じ?
同じではありません。
立夏は5月上旬頃で、暦の上で夏が始まる時期です。
夏至は6月下旬頃で、北半球では一年のうち昼の時間が最も長くなる頃です。
立夏には何をすればいい?
立夏に必ず行うべき行事はありません。
新緑を楽しんだり、新茶を味わったり、季節の食材を取り入れたりして、春から夏へ変わる時期を楽しむのもよいでしょう。
また、日差しが強くなり始めるため、夏に向けた衣替えや紫外線対策を少しずつ始めるきっかけにする方法もあります。
まとめ|立夏は春から夏へ移り変わる季節の節目
立夏は、二十四節気のひとつで、**5月上旬頃に訪れる「暦の上での夏の始まり」**です。
本格的な暑さはまだ先ですが、
- 新緑が鮮やかになる
- 日差しが強くなる
- 日が長くなる
- カエルなどの生き物が活発になる
といった変化から、少しずつ夏の気配を感じられる時期です。
立夏そのものに決まった行事や食べ物はありませんが、時期が近い端午の節句や新茶、柏餅、たけのこなどを通して初夏らしさを楽しむことができます。
二十四節気では、春の終わりを表す穀雨から立夏へ移り、その後は小満へと季節が進んでいきます。
「もう夏なの?」と感じることがあっても、立夏は真夏ではなく、春から夏への変化を感じる時期です。
新緑や日差し、身近な生き物などに目を向けながら、季節の移り変わりを楽しんでみてください。

