清明は二十四節気の一つで、立春や夏至などと同様に季節の変わり目を示します。春の第5の節気として位置づけられ、春の訪れを感じさせる節気です。
ここでは、「清明とは何か?」という疑問に答えるために、その意味や特徴、2024年の日程、関連する習慣や食べ物について深掘りしてみましょう。
二十四節気とは
一年を太陽の動きに沿って分けたのが二十四節気(にじゅうしせっき)です。
具体的には、太陽が通る道、つまり黄道を24に分け、それぞれの部分に季節を割り当てます。例えば、夏至は一年で日が最も長い日で、冬至は最も短い日です。
これらを基にして昼夜の長さが等しい春分や秋分でさらに季節を細かく分け、立春、立夏、立秋、立冬などの時期が設定され、季節を細かく8つに分けます。
そして、これらをさらに細分化して、二十四の期間に名前を付けたのが二十四節気なのです。
二十四節気の一覧も用意しています。ぜひ参考にしてください。
清明とは?
清明は「せいめい」と読まれます。
自然が清らかで生き生きとした状態になる時期を表します。
江戸時代の文献「暦便覧」によると、清明は「万物が清浄で明潔になる時」と定義されています。この定義から、「清明」という言葉が生まれたとされています。
日本の春は霞や雨が多いですが、清明の起源である中国の黄河中域では、この時期に自然が特に美しく見えると言われています。
2024年の「清明」はいつ?
2024年の清明は4月4日(木曜日)に設定されています。
清明の日程は毎年同じではなく、おおよそ4月4日から5日の間に設定されることが一般的です。これは春分の日から数えて15日後、太陽黄経が15度の位置にあたる時期を指します。
また、この時期は日本の本州で桜が開花する頃と重なります。
中国の「清明節」
中国や台湾、香港などでは、太陰太陽暦に基づき「清明節(せいめいせつ)」が広く祝われています。
この祝日は旧暦3月の春分の日から15日後に設定され、その日を含む3日間が休日となります。清明節では祖先の墓参りや清掃を行う「掃墓節」として知られ、日本のお盆に相当する行事です。
また、清明節の前日には火を使わない「寒食節(かんしょくせつ)」が行われ、これは晋国の忠臣、介子推を悼む伝統に由来しています。
沖方の「清明祭(シーミー)」
沖縄では独自の「清明祭(シーミー)」が行われます。
これは一般的な墓参りとは異なり、旧暦に基づいて行われる伝統行事です。通常、新暦の4月4日から5日に行われますが、最近では春の始めの2週間を目安に行うことが多いです。
この祭りでは、親族が集まり先祖を供養し、重箱に詰めた料理を食べ、泡盛やビールなどを楽しみます。ウチカビを燃やす習慣もあり、これは先祖の霊界での貨幣とされ、豊かさをもたらすと信じられています。
清明の七十二候
「二十四節気」を更に詳細に分けた「七十二候(しちじゅうにこう)」と呼ばれるもので、約5日ごとに変わる気象や自然界の変化を記録しています。
この七十二候を通じて、清明がどのような季節として理解されているかがより明確になります。現代ではあまり目にすることのない自然の様子も含まれています。
第十三候 玄鳥至【つばめきたる】 [4月4日~8日頃]
清明の訪れと共に、冬を東方で過ごしたツバメが日本へ飛来します。彼らは家の軒下に巣を作り、泥や枯れ草を使います。この巣作りは天敵から身を守るための工夫とされ、ツバメは田畑の害虫を食べるため、農家にとってはありがたい存在です。
第十四候 鴻雁北【こうがんかえる】 [4月9日~13日頃]
清明の中頃、日本で過ごした冬を終え、雁が北へ向かう時期です。これらの渡り鳥はV字編隊で空を飛ぶのが特徴的です。
第十五候 虹始見【にじはじめてあらわる】 [4月14日~19日頃]
春が深まり、日光が強くなると、雨上がりに美しい虹が現れることがあります。この時期の代表的な旬の食材は初ガツオで、その脂の少なさとさっぱりとした味わいが人気です。
清明の行事
花まつり「灌仏会(かんぶつえ)」(4月8日)
毎年この日に行われる花まつりは、お釈迦様の誕生を祝う行事です。華やかな花御堂を建て、誕生仏像に甘茶を捧げます。この伝統は、お釈迦様の誕生時に降らされたという甘露の伝説に基づいています。
十三詣り(じゅうさんまいり)(4月13日)
清明に合わせて行われるこの行事では、13歳の子供たちが虚空蔵菩薩を祀る寺を訪れます。虚空蔵菩薩は智慧や福徳を司るとされ、子供たちは知恵や才能の成長を願って参拝します。
清明の食べ物
韮(ニラ)
スタミナ増進効果が期待できる韮は、疲労回復や免疫力アップに有効です。その香り成分は血液の健康にも寄与します。
新じゃがいも
3月から7月にかけて旬の新じゃがいもは、水分豊富でデンプン質が少ないため、様々な料理に適しています。ただし、傷みやすいため注意が必要です。
初ガツオ
春の初めに獲れる初ガツオは、脂が少なくてさっぱりとした味わいが特徴です。新鮮な状態でたたきなどにして楽しむのがおすすめです。
まとめ
清明の時期は、冬の終わりから春の訪れを告げる、自然が活発になる季節です。桜の花が咲き乱れるこの時期は、お花見に最適な日々です。
山菜や初ガツオなど、春ならではの旬の食べ物を楽しむのもこの季節の醍醐味です。花が咲き誇り、昆虫が飛び交い、ツバメが飛来する清明は、自然の美しさを五感で感じる素晴らしい時期です。