「久しぶりにたまごっちで遊ぼうと思ったら、画面が真っ暗でつかない……」
「昨日まで遊べていたのに、急にうんともすんとも言わなくなった」
大切に育てていたたまごっちや、懐かしくて引っ張り出してきたたまごっちの電源が入らないと、故障してしまったのではないかと焦ってしまいますよね。特に、お子様が楽しみにしていた場合、なんとかして直してあげたいと思うのが親心です。
でも、諦めるのはまだ早いです。たまごっちの電源が入らない原因の多くは、実は故障ではなく、電池や接触などの「一時的なトラブル」です。
この記事では、たまごっち歴20年以上の筆者が、最新機種(Tamagotchi Uni)から懐かしの初代モデルまで、電源が入らない際の原因と具体的な対処法を徹底解説します。修理に出す前に、まずは家でできるチェックポイントを一つずつ試してみてください。
【基本編】電源が入らない原因の8割は「電池」にある
画面が真っ暗になった時、最も疑うべきはやはり「電池」です。「新品の電池に変えたばかりだから大丈夫」と思っていても、意外な落とし穴があるものです。まずは基本中の基本から確認していきましょう。
電池切れのサインを見逃していないか
たまごっちは完全に電源が落ちる前に、いくつかのサインを出していることがあります。
- 画面のコントラストが薄くなっていた
- 音が割れたり、小さくなっていた
- ボタンの反応が鈍くなっていた
これらの症状があった後に電源が入らなくなった場合は、単純な電池切れである可能性が非常に高いです。
新しい電池でも動かない?電池の向きと種類の再確認
「新品の電池を入れたのに動かない!」というケースでよくあるのが、プラス(+)とマイナス(-)の入れ間違いです。
たまごっちの電池ボックスは機種によって構造が異なり、特に単4電池を2本使うモデル(Tamagotchi Mix, Meets, Onなど)は、バネの位置をよく見て正しい向きでセットする必要があります。
また、使用する電池の種類にも注意が必要です。
- アルカリ乾電池(推奨): バンダイ公式が推奨しています。パワーがあり、安定して動作します。
- マンガン乾電池: パワーが弱く、すぐに切れたり、誤動作の原因になったりします。
- 充電式電池(ニッケル水素電池など): エネループなどの充電池は、電圧がアルカリ電池(1.5V)より低い(1.2V)ため、「電池交換サイン」がすぐに出たり、正常に起動しなかったりすることがあります。基本的には新品のアルカリ乾電池を使用してください。
【対処法1】まずは「リセットボタン」を正しく押してみる
電池を新しくしても画面がつかない場合、次に試すべき最強の方法が「リセットボタン」です。
パソコンやスマホがフリーズした時に再起動するように、たまごっちも内部のシステムが一時的に固まっているだけのことがあります。
リセットボタンの場所と押し方
ほとんどのたまごっち機種には、本体の裏側(または電池蓋の中)に小さな穴が開いています。これがリセットスイッチです。
- 道具を用意する: 爪楊枝、ボールペンの先、伸ばしたクリップなど、先の細いものを用意します。(針など鋭利すぎるものは内部を傷つける恐れがあるので避けましょう)
- 優しく押す: リセットボタンの穴に道具を入れ、カチッという感触があるまで優しく押します。強く押しすぎないように注意してください。
- 画面を確認する: 正常であれば、数秒後に「ピー」という音が鳴り、たまごの画面や設定画面が表示されます。
「ロード」と「リセット」の違い(データを消さないために)
リセットボタンを押して画面が復活すると、多くの機種で以下の選択肢が表示されます。
- ロード(つづきから): 以前の育成データを引き継いで再開します。
- リセット(さいしょから): 全てのデータを消去し、初期化します。
焦ってボタンを連打してしまうと、誤って「リセット(さいしょから)」を選んでしまい、大切に育てたキャラクターとお別れすることになってしまいます。画面がついたら、まずは落ち着いて「ロード」を選択しましょう。
【対処法2】機種別トラブルシューティング(Uni・Smart・Mixなど)
たまごっちは時代とともに進化しており、機種によって電源周りの仕組みが異なります。お持ちの機種に合わせて確認してください。
充電式モデル(Tamagotchi Uni / Smart)の場合
最新の「Tamagotchi Uni」や「Tamagotchi Smart」は、スマホと同じようにUSB充電式です。
- 完全放電の可能性: 長期間遊んでいなかった場合、バッテリーが完全に空(完全放電)になっている可能性があります。この状態だと、充電ケーブルを挿してもすぐには充電ランプがつかないことがあります。
- 対処法: ケーブルを挿したまま、15分〜30分ほど放置してみてください。バッテリーが一定レベルまで回復すると、画面が表示されることがあります。
- ケーブル・アダプタの不具合: 付属の充電ケーブル以外を使用している場合、電圧が合わずに充電できないことがあります。また、パソコンのUSBポートからの充電は出力が弱く、充電に時間がかかることがあります。コンセントから電源を取るUSBアダプタ(5V/1A程度のもの)を使用して試してください。
電池式モデル(Original / Meets / Mix / On)の場合
単4電池やボタン電池(LR44/CR2032)を使用するモデルの場合、物理的な接触不良が疑われます。
- 裏蓋の接触不良: 電池蓋が浮いていると、通電しない設計になっている機種があります。ネジをしっかりと締めて、蓋が密着しているか確認してください。
- ネジトラブル: 古い機種の場合、ネジ山が潰れて蓋が開かないことがあります。この場合は、無理にこじ開けず、幅の広い輪ゴムをドライバーとネジの間に挟んで回すなどの工夫が必要です。
【対処法3】久しぶりに遊ぶ場合に多い「液漏れ・サビ」の確認
「子供の頃に使っていたたまごっちを実家で見つけた」
「数年ぶりに引き出しから出した」
このように長期間保管していた場合、電池を入れっぱなしにしていませんでしたか?
古い電池を入れたままにしていると、電池からアルカリ液が漏れ出し(液漏れ)、金属端子を腐食させてしまいます。
端子の青サビ・白粉の正体と掃除方法
電池ボックスを開けた時、バネの部分に青緑色のサビや、白い粉のようなものが付着していたら、それが通電を妨げている原因です。
【軽度のサビの対処法】
- 安全対策: 液漏れした液体は有害です。必ず手袋をし、目に入らないように注意してください。
- 拭き取り: 綿棒に少量のアルコール(無水エタノールが最適)を含ませ、サビや汚れを優しく拭き取ります。
- 削り取り: 頑固なサビは、サンドペーパー(紙やすり)の切れ端やマイナスドライバーで、金属の光沢が出るまで軽く削ります。
- 乾燥: 完全に乾いてから新しい電池を入れます。
これだけで通電が復活し、電源が入るケースは非常に多いです。
【対処法4】画面は暗いが「音」は鳴る場合の故障
電池を入れ、リセットボタンを押した時、画面は真っ暗なままなのに「ピー」という音だけ聞こえることがあります。
また、ボタンを押すと操作音はするのに、画面には何も映らないケースです。
液晶パネルの破損・寿命の可能性
この場合、本体(基盤)は動いていますが、液晶画面自体が故障している可能性が高いです。
- 落下による破損: 過去に落とした衝撃で、内部の液晶ケーブルが外れたり断線したりしている。
- 経年劣化(寿命): 特に1990年代の初代たまごっちなどは、液晶の寿命(ビネガーシンドロームなど)により、画面が黒く変色したり、映らなくなったりすることがあります。
残念ながら、液晶自体の故障は電池交換やリセットでは直りません。分解修理が必要になりますが、専門知識がない状態での分解は推奨されません。
どうしても直らない場合は?修理とサポートへの問い合わせ
ここまで紹介した方法(電池交換、リセット、端子清掃、充電放置)を全て試しても電源が入らない場合、内部基盤の故障が考えられます。
バンダイお客様相談センターへの問い合わせ
現行機種(発売から数年以内のモデル)であれば、メーカーであるバンダイのサポートを受けられる可能性があります。
- バンダイ公式サイトの「お客様サポート」ページにアクセスする。
- 「おもちゃ・バラエティ」のカテゴリから問い合わせフォームに進む。
- 症状を詳しく伝え、修理が可能か確認する。
※保証期間内であれば無償修理の可能性がありますが、期間外や過失による故障(水没など)は有償になる場合があります。
修理対応が終了している古い機種の場合
初代たまごっちや、10年以上前のモデルは、メーカーでの修理部品保有期間が終了しており、公式修理が受けられないことがほとんどです。
その場合は、以下の選択肢を検討することになります。
- おもちゃ病院: 全国のボランティア団体が運営する「おもちゃ病院」に相談する。部品代などの実費のみで修理してくれる場合があります。
- 中古市場での買い替え: メルカリやヤフオクなどで、同機種の動作品を購入する。
- 新しいモデルへの移行: 思い切って最新のたまごっちを購入する。
まとめ
たまごっちの電源が入らない時の対処法をまとめます。
- 電池を新品のアルカリ乾電池に交換する(向きに注意)。
- リセットボタンを爪楊枝などで優しく押す。
- 充電式モデルは、30分以上充電したまま放置してみる。
- 電池ボックス内のサビや汚れを綿棒で掃除する。
- それでもダメなら、メーカーサポートかおもちゃ病院へ。
多くのトラブルは、電池交換とリセットボタンで解決します。焦らず一つずつ確認してみてください。
また、もし今回のトラブルが解決して再び遊べるようになったら、次回からは「遊び終わって長期間保管する時は、必ず電池を抜く」ことを徹底しましょう。これだけで、液漏れによる故障リスクをほぼゼロにできます。
もし、残念ながら故障してしまっていた場合は、これを機に最新のたまごっちをお迎えしてみてはいかがでしょうか?
今のたまごっちはカラー画面はもちろん、Wi-Fiに繋がったり、腕時計型だったりと驚くほど進化しています。新しいパートナーとの出会いが、また楽しい毎日を運んでくれるはずです。

