「毎日、怒ってばかりで自己嫌悪になる」
「子どものために頑張っているはずなのに、全然幸せそうじゃない」
「SNSで見るキラキラしたママと自分を比べて落ち込む」
今、この画面を開いているあなたは、そんなふうに心が擦り切れてしまいそうになっているのではないでしょうか。
朝起きた瞬間から夜寝るまで、終わりのないタスクに追われ、子どもの予測不能な行動に振り回される日々。ふと立ち止まったとき、「私、一体何を大事にしたくて子育てしてるんだっけ?」と、迷子になったような感覚に襲われることがあります。
まず最初にお伝えしたいのは、そう感じるのは、あなたがこれまで一生懸命に子育てに向き合ってきた何よりの証拠だということです。どうでもいいと思っている人は、悩みさえしません。
この記事では、子育ての渦中で「大事にしたいこと」を見失いそうになったとき、どうやって心を整え、本来の自分らしい子育てを取り戻せばいいのか、そのヒントと具体的な方法を解説します。
深呼吸をして、肩の力を抜きながら読み進めてみてください。
なぜ私たちは子育て中に「大事なこと」を見失ってしまうのか?
そもそも、なぜ私たちはこんなにも簡単に「大事なこと」を見失ってしまうのでしょうか。あなたの能力不足でも、愛情不足でもありません。現代の子育て環境には、親を追い詰める構造的な要因があります。
SNSや育児書による「情報の洪水」と「比較」
スマホを開けば、「知育に良いおもちゃ」「栄養バランス完璧な離乳食」「怒らない子育て」といった情報が溢れています。
これらは本来、親を助けるための情報のはずですが、心に余裕がないときは「これくらいできて当たり前」「これができない親はダメ」というプレッシャーに変換されてしまいます。
特にSNSでは、他人の生活の「一番良い切り取り」しか見えません。画面の中の整理整頓された部屋や笑顔の親子と、目の前の散らかった部屋や泣き叫ぶ我が子を比較して、「自分はなんてダメなんだろう」と軸がブレてしまうのです。
身体的な疲労と「自分の時間」の欠如
「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言いますが、子育て中の親の肉体は常に限界ギリギリです。
慢性的な睡眠不足、抱っこによる身体の痛み、温かい食事すらゆっくり摂れない状況。
マズローの欲求5段階説で言えば、最も底辺にある「生理的欲求」すら満たされていない状態です。これでは、高次の「愛情」や「自己実現」について冷静に考える余裕がなくなるのは、生物として当たり前の反応です。大事なことを見失っているのではなく、単に脳が疲労でショートしているだけというケースも非常に多いのです。
「~すべき(Must)」が「~したい(Want)」を圧迫している
- 「テレビは見せすぎないようにすべき」
- 「手作りの料理を食べさせるすべき」
- 「早く寝かせるすべき」
真面目な人ほど、この「べき思考」に縛られます。
本来、子育てにおいて本当に大事なことは「家族が笑顔でいること」だったはず。しかし、手段であるはずの「しつけ」や「生活習慣」が目的化してしまい、それを守るために子どもを怒鳴ってしまっては本末転倒です。「~したい」という本来の願いが、「~すべき」という義務感に埋もれてしまっているのです。
もう一度思い出そう。あなたが子育てで本当に「大事にしたいこと」は?
混沌とした日常の中で見えなくなっているだけで、あなたの中には確実に「核」となる想いがあります。少し視点を変えて、それを掘り起こしてみましょう。
原点回帰のワーク:子どもが生まれた日の気持ち
少し時間を巻き戻してみてください。お子さんが生まれた瞬間、あるいは初めてその存在を知ったとき、あなたはどんなことを願いましたか?
「東大に入ってほしい」
「かけっこで一番になってほしい」
「好き嫌いなく食べてほしい」
おそらく、最初の願いはそうではなかったはずです。
「ただ、元気に生きていてくれればいい」
「生まれてきてくれてありがとう」
多くの親御さんが、このシンプルで究極の願いを持っていたはずです。
日々の成長に伴い、「もっともっと」と欲が出てくるのは自然なことですが、行き詰まったときはこの「原点」に立ち返ってみてください。「今日も生きていてくれた。それだけで100点」と思えたとき、絡まった糸が少し解けるはずです。
10年後の未来から今を見る視点
今、目の前で子どもが牛乳をこぼしたとします。カッとなって怒鳴りそうになったとき、想像の翼を広げて「10年後の未来」に飛んでみましょう。
10年後、子どもは大きくなり、親の手を離れつつあります。その時、「あの時牛乳をこぼしたこと」は、どれほど重要な問題でしょうか? おそらく、記憶にも残っていない些細な出来事です。
しかし、「失敗したときに親がどう対応してくれたか」という記憶や感覚は、子どもの自己肯定感として残ります。
「部屋が綺麗であること」と「失敗しても大丈夫だという安心感」。10年後の子どもに残したいギフトはどちらでしょうか? そう問いかけると、今この瞬間の優先順位が自然と決まってきます。
完璧な親ではなく「笑っている親」が子どもに与える影響
子どもにとっての一番の栄養は、バランスの良い食事よりも、高価な教材よりも、「パパやママが笑っていること」です。
親が眉間にシワを寄せて「あなたのためよ!」と完璧な育児をするよりも、部屋が多少散らかっていても、夕飯がレトルトでも、親がニコニコして「美味しいね」と言っている家庭の方が、子どもは安心して情緒を育むことができます。
あなたが「大事にしたいこと」リストの最上位に、「自分自身をご機嫌にすること」を置いていいのです。それは決してワガママではなく、子どものための最善の戦略です。
今日からできる!心の余裕を取り戻すための具体的なアクション
マインドセットを変えるには、行動から変えるのが近道です。明日からではなく、今日からできる小さなアクションをご紹介します。
家事・育児の「やらないことリスト」を作る
「やることリスト(ToDoリスト)」を作っている人は多いですが、忙しいときこそ「やらないことリスト(Not ToDoリスト)」が有効です。
- 今日はお風呂掃除をしない(シャワーで流すだけ)
- 子どもが寝た後の食器洗いはしない(明日の朝やる)
- 洗濯物は畳まない(カゴから直接着るスタイル)
- 手作り料理にこだわらない(お惣菜やデリバリーを活用)
「今日はこれをサボった」と自分を責めるのではなく、「今日は笑顔を守るために、あえてこれをやらなかった」とポジティブな選択として捉え直しましょう。
1日5分でも「自分主語」で過ごす時間を確保する
子育て中は、主語が常に「子ども」になりがちです。「(子どもが)お腹すいたかな」「(子どもを)寝かせなきゃ」。これでは自分が消失してしまいます。
1日の中でたった5分、10分で構いません。「私が」やりたいことをやる時間を確保してください。
- 私が飲みたい高いコーヒーを飲む
- 私が好きな音楽を聴く
- 私が読みたい漫画を読む
トイレにこもっている間でも、子どもがテレビを見ている隙でも構いません。「ママ」や「パパ」の役割を脱いで、ただの「自分」に戻る瞬間を作ることで、精神的なバランスを保ちやすくなります。
物理的に距離を置くことへの罪悪感を捨てる
「子どもと離れたい」と思うことに罪悪感を持つ必要はありません。24時間365日、誰かと密着して生活していれば、相手が誰であれストレスは溜まります。
一時保育、ファミリーサポート、ベビーシッター、祖父母、あるいはパートナー。使えるリソースはすべて使いましょう。
「美容院に行くために預けるなんて」と思う必要はありません。あなたがリフレッシュして、笑顔で「ただいま!」と子どもを抱きしめられるなら、その時間は立派な「育児に必要な経費(時間)」です。
イライラや自己嫌悪に襲われたときのお守りマインドセット
それでも、どうしてもイライラしてしまったり、大事なことを見失いそうになったりする日はやってきます。そんなとき、心の中で唱える「お守りの言葉」を持っておきましょう。
「まあ、いっか」は魔法の言葉
思い通りにいかないことが起きたら、口に出して「まあ、いっか」と言ってみてください。
「死ぬわけじゃないし、まあいっか」
「今日は泣き止まない日なんだな、まあいっか」
言葉には魂が宿ります。肯定的な諦めの言葉を口にすることで、張り詰めた緊張の糸が緩み、事態を客観視できるようになります。完璧主義を手放すための、最強の呪文です。
子どもの「行動」ではなく「存在」に目を向ける
イタズラをした、言うことを聞かない。そんな子どもの「行動」にフォーカスするとイライラします。
そんなときは、視点をズームアウトして、子どもの「存在」そのものを見てみましょう。
寝顔を見ているときや、無心で遊んでいる後ろ姿を見たとき。「この小さな体で、一生懸命生きているんだな」と感じられたら、それで十分です。行動(Do)は叱っても、存在(Be)は常に承認する。この切り分けができると、怒ってしまった後でも「大好きだよ」と伝えやすくなります。
今日一日生き延びた、それだけで100点満点
今日、子どもを怪我させずに一日を終えられた。ご飯を食べさせた。オムツを替えた。
当たり前に思えるかもしれませんが、これはすごいことです。
誰にも褒められないかもしれませんが、あなたは今日、一つの命を守り抜きました。
できなかったこと(減点法)で自分を評価するのではなく、今日一日を無事に終えたこと(加点法)で自分を褒め称えてください。
まとめ
子育てにおいて「大事にしたいこと」を見失うのは、あなたが迷子になるほど真剣に、深い愛情を持って子どもと向き合っているからです。
道に迷ったときは、立ち止まってもいいし、誰かに道を尋ねてもいいのです。
- 完璧を目指さない(60点で合格)
- 親の笑顔が子どもの栄養
- 「~すべき」より「~したい」を優先する
もし、どうしても辛さが消えない、誰かに話を聞いてほしい、物理的に手が足りないと感じる場合は、外部のサービスや専門家を頼ることを躊躇しないでください。
家事代行サービスで時間を作ったり、カウンセリングで心を整理したり、子育て相談窓口を利用したりすることは、「逃げ」ではなく、家族を守るための「賢い選択」です。
あなたとご家族が、今日よりも少しだけ肩の力を抜いて、笑って過ごせる時間が増えることを心から願っています。
