朝、意気込んで立てたスケジュール。「午前中に洗濯と掃除を済ませて、午後は公園へ行って、夕食は栄養バランスの良いものを……」。
しかし現実はどうでしょう。
子どもが牛乳をこぼして着替え直し、お昼寝をしてくれずにグズグズ、気がつけば夕方になり、部屋は散らかったまま。夕食は冷凍食品やお惣菜に頼ることに。
「ああ、今日も予定通りにいかなかった」
「私は要領が悪いダメな母親だ」
布団の中で、そんなふうに自己嫌悪に陥っていませんか?
もしそうなら、まずは深呼吸をしてください。あなたは決してダメな母親ではありません。
育児中のママにとって、1日が予定通りにいかないのは、雨が降るのと同じくらい「当たり前」のことなのです。
この記事では、毎日頑張りすぎて疲れてしまっているママに向けて、「予定通りにいかない日の心の守り方」と、イライラを鎮める具体的な対処法をご紹介します。読み終わる頃には、少しだけ肩の力が抜け、「今日はこれでよかったんだ」と思えるようになるはずです。
なぜ、ママの1日は予定通りにいかないのか?
まず、自分を責めるのをやめるために、「なぜうまくいかないのか」その根本的な原因を客観的に見てみましょう。あなたの能力不足が原因ではありません。
「自分以外の要因」が9割を占めている
独身時代や仕事中は、ある程度自分のペースで時間をコントロールできました。しかし、育児は違います。
- 子どもの機嫌(泣く、怒る、甘える)
- 突発的なトラブル(漏らす、こぼす、怪我をする)
- 体調の変化(急な発熱、鼻水)
これらはすべて「アンコントローラブル(制御不能)」な要因です。
天気予報が外れるのと同じで、子どもの行動を完全に予測し、制御することは不可能です。ママの1日は、この「予測不能な他者」によって常に中断される運命にあります。つまり、予定が崩れるのは構造上の問題であり、あなたの手際の良し悪しとは無関係なのです。
そもそも「予定」のハードルが高すぎる可能性
真面目で頑張り屋なママほど、理想のスケジュールを詰め込みすぎる傾向があります。
「SNSで見るキラキラしたママ」を基準にしていませんか?
「普通の家事」+「丁寧な育児」+「自分の時間」……これらを全て1日に詰め込むのは、ベテランのプロジェクトマネージャーでも至難の業です。育児中は、通常の3倍の時間がかかると見積もっても足りないくらいです。
脳の仕組み:マルチタスクは疲労の元
「料理をしながら子どもの様子を見て、洗濯機の音を気にしつつ、明日の保育園の準備を考える」。
ママの脳は常に高度なマルチタスクを行っています。脳科学的にも、マルチタスクは脳に大きな負荷をかけ、判断力や感情のコントロール力を低下させることがわかっています。
予定通りにいかなくてイライラするのは、あなたが悪いのではなく、脳がオーバーヒートを起こしているサインなのです。
心がフッと軽くなる「考え方」の転換テクニック
現状を変えるのが難しいなら、受け止め方(マインド)を少し変えてみましょう。これだけで、ストレス値は劇的に下がります。
「To Doリスト」ではなく「できたことリスト」を書く
「あれもできなかった、これもできなかった」と、減点方式で1日を振り返っていませんか?
今日から、加点方式に変えましょう。
おすすめは、手帳やスマホのメモに「できたことリスト(Done List)」を書くことです。
- 子どもに朝ごはんを食べさせた
- オムツを5回替えた
- 絵本を1冊読んだ
- とりあえず生きて今日を終えた
これらは立派な「成果」です。「当たり前のこと」と思わず、書き出して可視化することで、「私、意外と頑張ってるじゃん」と脳に認識させることができます。自己肯定感を保つための最強のツールです。
60点で合格!「ま、いっか」を口癖にする魔法
完璧主義は、育児において最大の敵になり得ます。
「部屋は常に綺麗でなければならない」「食事は手作りでなければならない」という思い込み(呪い)を手放しましょう。
- 掃除機をかけられなかった → 「死ぬわけじゃないし、ま、いっか」
- 夕飯がレトルトになった → 「ママが笑顔ならそれが一番の栄養。ま、いっか」
目標ラインを100点から60点に下げてください。
60点取れれば、それはもう「優良可」の「優」です。口に出して「ま、いっか」と言うことで、張り詰めた神経が緩みます。
「子どもの命を守った」だけで今日は大成功
究極のマインドセットはこれです。
どんなに部屋が汚くても、どんなにYouTubeを見せ続けてしまったとしても、今日一日、子どもが大きな怪我なく生きて眠りについた。
これ以上の成果があるでしょうか?
育児とは「命を育てる」という崇高で責任重大なプロジェクトです。今日一日、そのミッションを完遂したあなたは、プロフェッショナルとして胸を張っていいのです。
イライラが止まらない時の緊急対処法(リセット術)
考え方を変えようとしても、どうしても感情が爆発しそうになる時はあります。そんな時に使える、即効性のある対処法を紹介します。
物理的に距離を取る「トイレ避難」
イライラが頂点に達したら、何も言わずにトイレに駆け込み、鍵をかけましょう。
たとえ子どもがドアの外で泣いていても、数分間なら大丈夫です。
- トイレに入る
- 便座に座り、目を閉じる
- 大きく深呼吸を3回する
物理的に視界から「イライラの原因(散らかった部屋や泣く子ども)」を遮断することで、脳の興奮を鎮めることができます。「ママは今、クールダウン中!」と割り切って避難しましょう。
五感を刺激して脳を切り替える(温かい飲み物・香り)
怒りの感情は、別の感覚刺激を与えることで逸らすことができます。
- 味覚・温感: 温かいコーヒーやハーブティーを一口飲む。
- 嗅覚: 好きなアロマオイルの匂いを嗅ぐ、ハンドクリームを塗る。
- 触覚: 冷たい水で顔を洗う。
特におすすめなのは、「甘いもの」を一口食べること。血糖値が少し上がることで、脳のエネルギー不足が解消され、冷静さを取り戻しやすくなります。キッチンに「ママ専用の隠しおやつ」を常備しておきましょう。
今日の家事は「閉店ガラガラ」宣言をする
「もう無理!」と思ったら、その時点で今日の業務を強制終了しましょう。
「本日のママ業は、これにて閉店です!これ以降は緊急時以外の対応はいたしません!」と心の中で(あるいは声に出して)宣言します。
洗い物が残っていても、洗濯物が畳まれていなくても、明日の朝の自分、あるいはパートナーに任せましょう。ママのメンタル崩壊を防ぐことの方が、家事よりも優先順位は圧倒的に上です。
予定通りにいかない日を減らすための「事前準備」
心の持ち方と緊急対処法をお伝えしましたが、少しでも「予定通りにいかないストレス」を減らすための工夫も大切です。
予定には必ず「バッファ(余白)」を持たせる
スケジュールを立てる際、「何も入れない時間」をあらかじめ作っておきましょう。
例えば、1時間の用事なら1時間半の枠を取る。「午前中は買い物」と決めたら、午後は「フリー」にする。
この「余白」があれば、突発的なトラブルが起きても、そこ吸収することができます。もしトラブルがなければ、その時間はあなたの自由時間になります。
「やらないこと」を決める勇気を持つ
「やること(To Do)」を決める前に、「やらないこと(Not To Do)」を決めましょう。
- 平日は凝った料理を作らない
- アイロンがけが必要な服は買わない
- 子どもが寝た後は家事をしない
「やらない」と決めてしまえば、それができなかった時の罪悪感も生まれません。
頼れるものは全て頼る(家電・サービス・パートナー)
「私がやらなきゃ」という責任感を少し手放して、文明の利器や他人の手を借りましょう。
- お掃除ロボットや食洗機、乾燥機付き洗濯機への投資
- ネットスーパーやミールキットの活用
- 一時預かりやファミリーサポートの利用
これらは「手抜き」ではなく、家族と笑顔で過ごすための「手間抜き」です。コストはかかりますが、それによって得られる「ママの心の余裕」は、お金には代えられない価値があります。
まとめ
予定通りにいかない1日を過ごしたあなたへ。
まずは、今日一日、本当にお疲れ様でした。
思い通りにいかないことだらけの中で、投げ出さずに一日を終えたあなたは、本当に素晴らしい頑張り屋さんです。
大切なポイントのおさらい
- 予定が崩れるのは「子どもの成長」という制御不能な要因のせい。あなたのせいではない。
- 減点法ではなく、「できたこと」を加点法で数える。
- 「命を守っただけで100点満点」と心得る。
- イライラしたら物理的に離れてクールダウンする。
明日は今日よりも少しだけ、「ま、いっか」と言える回数が増えますように。
散らかった部屋よりも、手抜きの夕飯よりも、ママが笑っていること。それが子どもにとって、何よりも嬉しい「予定通りの幸せ」なのです。
最後に:頑張るママへ、自分へのご褒美を
毎日24時間365日営業の「ママ業」。たまには自分自身を徹底的に甘やかしてあげませんか?
「時間がない」と諦める前に、まずは5分だけでいいので、自分のためだけの時間を作ってみてください。お気に入りの入浴剤を入れたお風呂に浸かる、ちょっといいスイーツをお取り寄せする、美容マスクをしながら好きな音楽を聴く。
そんな小さな「自分へのご褒美」が、明日への活力になります。
今日から早速、何か一つ「自分のための予定」をスケジュール帳に書き込んでみてくださいね。
